パリ装飾芸術美術館「モードとスポーツ、一つのポディウムからもう一つのポディウムへ」展より。
ポロシャツ、ラガーシャツ、ジョギングパンツ、スニーカーなど、今やファッションの一部となったスポーツウェアは、現代人のワードローブに欠かせないアイテム。来年、オリンピック・パラリンピックを迎えるパリの装飾芸術美術館では、そんなスポーツとファッションの関係に焦点を当てた展覧会「モードとスポーツ、一つのポディウムからもう一つのポディウムへ」を開催しています。
オリンピックのポスター。左は1912年ストックホルム五輪(Olle Hjortzberg)、右は1924年パリ五輪(Jean Droit)。
乗馬や野外スポーツに使われていたコスチューム。中央は1800年代後半の女性の乗馬服。
タイトルに使われている “ポディウム”は、聞き慣れない言葉だと思いますが、ファッション界ではショーでモデルが歩くステージを意味し、スポーツ競技においては表彰台のこと。今展では、古代から現代にかけて、スポーツウェアがどのように進化し、ファッションに影響を与えていったのかを450点以上の服、アクセサリー、写真、絵、ポスターなどの展示とともに解説しています。
1900年のサイクリング用アンサンブル。ネクタイにはサイクリストが刺繍されていて、かなりオシャレ。
過去から現代まで、年代別・カテゴリー別にスポーツウェアの変遷をたどる展示では、ジャン・パトゥ、ジャンヌ・ランバン 、ガブリエル・シャネルなど、戦時中にスポーツウェアをファッションに取り入れたパイオニアから新進気鋭のデザイナーの作品までを網羅。 フィナーレを飾る大ホールでは、今日のトレンドを牽引するラグジュアリーブランドが一堂に介します。
“快適さ”の需要がますます高まるファッション界において、スポーツの要素がいかに重要であるかに気づかせてくれる展覧会です。
テニスとゴルフのコーナー。左のアンサンブルはジャン・パトゥ(1930年代)。その横はラコステのポロシャツ(1934年)とブレザー(1920年代、レプリカ)。右はタヴァンヌとエルメスによる時計付きゴルフ用ベルト(1928年)。
大きな変化を遂げた水着の歴史も解説。写真は、1800年代後半から1900年にかけての水着とビーチ用アンサンブル。
1930年代から’50年代にかけての水着。この頃、ツーピースの水着やビキニが登場。左は1920年代中頃のビーチガウンとパンツのアンサンブル。女性のパンツルックの普及と共に流行した。
左はロンドン五輪(2012年)で話題になったスイス代表のシンクロナイズドスイミングの水着で、札束がモチーフに。右は北京五輪(2008年)で注目を集めたスピードの競泳水着。高度なテクノロジーを用いてデザインされている。
ドライバーとパイロットのコーナー。写真上:1900年代初め頃に使われていた婦人用ダスターコート(左)とアヴィエイターコート。下:同年代のドライブ用の帽子類。
ジャンヌ・ランバン 1928年のスキーウェアのクロッキー。
左はイッセイ ミヤケとミズノによるバルセロナ五輪(1992年)のリトアニア代表団のユニフォーム。右は石岡 瑛子によるソルトレイクシティ冬季五輪のスイス代表団のユニフォーム(2002年)。
1964年の東京五輪のポスターと聖火リレーで着用されたタンクトップ。
ヴァージル・アブローによるオフ-ホワイト 2022−’23年秋冬の作品。
アレキサアンダー・マックイーン 1999年春夏の作品。
JWアンダーソン 2023年春夏の作品。
コム デ ギャルソン 2009年春夏の作品。
ヴェトモン 2016-’17秋冬の作品。
左はアディダスとコラボしたグッチ 2022-’23年秋冬の作品。右はY-3 2023年春夏の作品。
左はヨウジヤマモト 2001-’02年秋冬、右はラコステ2023年の作品。
2019年の女子ワールドカップの際に制作されたナイキとコシェのコラボ作品。 ナイキの名前の由来になったギリシャ神話の勝利の女神「サモトラケのニケ(Niké)」がモデルになった。
●MODE ET SPORT, D’UN PODIUM À L’AUTRE
「モードとスポーツ、一つの舞台からもう一つの舞台へ 」
2023年9月20日から2024年4月7日まで。
装飾芸術美術館
Musée des Arts Décoratifs
107, rue de Rivoli 75001 Paris, France
公式サイト
Photographs : Chieko Hama(濱 千恵子)
Text:B.P.B. Paris