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20周年のイッツ(ITS)、3年ぶりにリアルイベントを開催

2022.09.19

20周年を迎えたイタリアの国際ファッションコンテスト「イッツ(ITS=INTERNATIONAL TALENT SUPPORT)」が、3年ぶりにリアルイベントを開催した。

開催地はイタリアのトリエステ。この日に駆けつけた過去のファイナリストたちがステージに集合し、20周年を共に祝った。©Eugenio Spagnol ITS2022

記念回となった今年、グランプリ(ITS Arcademy Award)に輝いたのは、24歳のイギリス人、チャーリー・コンスタンティノウ(Charlie Constantinou)。受賞作品は、機能性と適合性にフォーカスしたメンズコレクションで、アラスカとカナダに住むイヌイット族の衣服からインスピレーションを得ている。

アザラシの腸から作られたパーカーなど、身近にある資源を利用した先駆的な防水服に魅了されたというチャーリー。イヌイット族が過去数百年にわたり、どのように厳しい環境に適応してきたかを調査し、自身のコレクションでは動物の毛皮をシェルパフリースに、革を防水ナイロンに置き換えた。©Pietro D’Aprano ITS2022

受賞したチャーリー(前列中央)を囲んで。隣の女性はイッツ発起人のバルバラ・フランキン(Barbara Franchin)。チャーリーには賞金15,000ユーロ(約217万円)と、ピッティ・イマージネ・チュートリング&コンサルティング(PITTI Immagine Tutoring & Consulting)による6か月間のメンターシップが授与される。©Eugenio Spagnol ITS2022

注目のOTBアワード(OTB Award)は、ベルギー人のリリ・シュレイベ(Lili Schreiber)が受賞。

リリの作品。チェック、水玉、ストライプなど、クラシックなモチーフを駆使したモダンなシルエットが印象的。明るく洗練されたデザイン、アップサイクルの手法などが受賞ポイントになった。©Pietro D’Aprano ITS2022

リリ(左)とディーゼル・サステナビリティ・アンバサダーのアンドレア・ロッソ。賞金は1万ユーロ(約145万円)。©Francesco Chiot ITS2022

プレス関係者が審査するITSメディア・アワード(ITS Media Award)は、スロバキア人のマタ・デュリコヴィック(Mata Durikovic)が獲得。

マタの作品。祖母が実践していたサステイナブルな暮しが着想源に。ジャガイモを原料にした澱粉バイオプラスチックや古着のリメイクにその特徴が見られ、独創的なクラフトワークが光っていた。©Pietro D’Aprano ITS2022

マタ(左)とジャーナリストのティチャーナ・カルディニ。賞金は8,000ユーロ(約116万円)。©Pietro D’Aprano ITS2022

また、日本人の活躍もめざましく、ファッション部門とアートワーク部門にダブルで選出された田中優大(Yudai Tanaka)&杏奈(Anna)が、ITSアートワーク・アワード(ITS Artwork Award powered by Swatch Art Peace Hotel)を受賞。

彼らはイベント当日にファッション部門の作品が届かないというアクシデントに見舞われたが、二部門に共通したポジティブな思考とエネルギー、受取り手との対話があるデザインで高評価を得た。

上の写真は、映像で発表されたアートワーク。テーマは「ウェアラブル・トーイ」。ベースとなったのは架空の島の旅から発想したファッション部門のコレクションで、島に住む様々なキャラクターを自由に組み合わせて着用できる服が提案された。メインの素材は羽毛布団から作られたリサイクル・ダウン。テントや寝袋になる服もあり、楽しく画期的なアイデアにあふれている。

田中優大&杏奈と、スウォッチ アートピースホテル(Swatch Art Peace Hotel)のカルロ・ジョルダネッティCEO。©Giuliano Koren ITS2022

惜しくも受賞は逃したが、ニューヨーク在住の北村元統(Asato Kitamura)もファッション部門で注目を集めたファイナリストの一人。披露されたのは、人間の様々な感情を表した創造性豊かなシルエットのコレクションで、ひときわインパクトがあった。

北村元統( ©Pablo Chiereghin ITS2022)と作品(©Pietro D’Aprano ITS2022)。 北村は自己肯定の方法について研究し、人が持つ8つの感情を8体の作品で表現。父親との関係、思春期の恋愛、子供の頃の体験などから抱いた感情をコレクションに投影しつつ、人間の不完全さや弱さを讃え、自身の存在を再認識することを試みた。右下の写真はポートフォリオの一部。

また、アートワーク部門で選出された馬渕岳大(Takehiro Mabuchi)も健闘した日本人。作品のテーマは「パッション」。クレパスで描いたテキスタイル画とハンドワークが好きだった祖母のヒストリーを織り交ぜ、ポップな世界観の中に詩的な情景を漂わせた。

作品に囲まれた馬渕岳大。古着にテキスタイルのパターンを描いたり、好きなミュージシャンの歌詞を刺繍したりと、オリジナルな手法で自身のパッションを表現するアーティスト。東京を拠点に、アパレルブランドとのコラボやファッションイベントのビジュアルなども手がける。

審査風景。審査員を前にプレゼンテーションをするチャーリーとポートフォリオ。

記念撮影をする今年のファイナリストたち。

アドリア海に面したトリエステ。左手の赤レンガの建物がショー会場。

今回の20周年に合わせて、イッツを主宰するバルバラ・フランキンの長年の構想だったクリエイションの複合施設「ITS アルカデミー(ITS Arcademy)」の内覧会を開催。展示スペース、作品とポートフォリオのアーカイブ、ラーニングセンターが集結する唯一無二の施設である。こちらは【続編】で紹介!

ITS公式サイト

Text:B.P.B. Paris

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