三越伊勢丹×文化服装学院の作品
リスクを恐れない実験的な物作り、タイムリーな話題をネタにして、若いパワーと自分達のフィルターを通して発信する文化服装学院の学生で結成された「マスター イノベーション」。今回のプロジェクトは卒業制作として参加しました。6名の作品とコメントをここで。また、プロジェクト期間中は伊勢丹新宿店本館3階プロモーションで展示されます。
アパレル技術科3年 イ・チャンミンさん
テーマは「人間と機械の結合 」。これから数百年、 数千年後の人類は果たしてどんな姿だろうか?私はこの新しい未来の人類を想像して服を作ってみました。 冷たくて人為的な機械を連想させるデザインと人間の身体の解剖学的なラインを組み合わせて服を作ることができました。筋肉を意識して、切り替えをしています。色の違いを表現するために配色を考えるのに苦労しました。
アパレル技術科3年 井上真輝さん
デニムのエイジングに焦点を当て制作しました。あえてコンセプトや意図を表に出さず、着る人に委ねたいという思いで制作に取り組んでいます。いただいたデニムの中でもダークな色目の物を選んで作りました。生地の幅が狭いので、切り替えの部分を考えながら裁断をするのが大変でした。
アパレル技術科3年 冨永 錠さん
今回は卒業製作だったので、3年間の学生生活を通してみえてきた自分のスタイルや好きなものをデニムを通して製作しました。リメイク感を出しつつ、どこかリメイクではできないそういったアイテムを製作しました。テクニック的にはパッチワークで大きな布の状態にして裁断をしています。デニムをほどく作業に時間がかかりました。
アパレル技術科3年 上田悠人さん
70年代のデニムを着た不良を描いた「outsider」という映画からインスピレーションした作品です。廃棄直前のデニムを使って、ハンティングウェアやワークウェアを製作しました。古着なので、新しい物を生み出すバランスを考えて製作しています。厚手の素材なので、糸は20番、針は16番を使い、それぞれシリコンスプレーを使って縫製しました。
生産システムコース3年 稲田翔太さん
今回のデニムプロジェクトでは、主にパッチワークをメインに製作し破けて、履けなくなったデニムをまた新しい生地として再構築し、服の様々な箇所にデザインとして取り入れました。ジャケットはモーターサイクルジャケットのアレンジ。パンツはかなりボリュームをもたせたシルエットです。みんなの残布を集めて細かくパッチワークをしています。
アパレルデザイン科3年 川井笙汰さん
デニムジャケットは自分の好きな曲線切り替えをデザインに落とし込みました。ボトムは、膝のあたりにデザインとして奇妙な模様をパッチワークしています。使ったのはすこし紫がかった色のデニムを選びました。自分自身日頃からデニムをよく履いているので親近感もあり、様々な状態のデニムを選び使用させていただきとても楽しく制作出来ました。貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。
製作風景
今回自分たちの卒業製作で、このような素晴らしいプロジェクトに参加できたことがとても光栄です。学生として3年間服を作ってきて、この作品が自分たちの集大成であり、最後の作品作りとなりました。各自のテーマと今回のデニムを融合させて、それぞれこれまででいちばん自分らしい服を作れたのかなと思います。また、デニムを何十本も解体して一本一本解いて製作したので、今までとは違ってより丁寧に服を作ることができました。今を生きる学生の思いや、今を生きる学生にしか作れない服が少しでも皆さんに伝わればと思います。
前列は製作者。右から上田悠人さん、冨永 錠さん、井上真輝さん、イ・チャンミンさん
photographs:Jun Tsuciya(B.P.B)
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