
「中間」に宿る美しさ
ほぐしながら見つめる変化の過程

『装苑』2026年9月号 掲載
チカ キサダとの協業で話題の林ひかりさんの作品は、繊細さと狂気が交錯する。

チカ キサダの2026年春夏コレクションにコラボレーターとして参加。糸をほぐして再構築したコルセットTシャツ作品を披露した。
「女子大学に通っていた頃、身体と衣服の境界について考える中で、肌に最も近い衣服であるストッキングを『衣服』ではなく『素材』として捉え、シャツを制作したことが私の原点です。落下するりんごや今にも破れそうな生地や素材など、“途中の瞬間”にあるものへ自然と惹かれるのは、完成された状態よりも、移り変わる過程に魅力があるからです。人生や日々の営みもまた、簡単に割り切れるものではなく曖昧なもの。ニットを手作業で『ほぐす』手法も、そうした関心の延長線上にあります。布をほどき、解体と再構築を繰り返す行為は、私にとって変化の過程そのものに触れ続けるための手段です。同時に、情報や物が次々と消費されていく社会に対する静かな抵抗でもあります。今後も服という枠にとどまらず、空間やオブジェ、その経過さえも表現しながら、探究を重ねていきたいです」


シンプルなTシャツをほぐし、ドレスのような長さに。小さなビーズをあしらったファッション作品。

ストッキングが破れることは美しいこと
身体への関心から描きためてきた人体スケッチ。


伝線すれば捨てられてしまうストッキング。しかし、そのほつれや素材の重なりにこそ美しさが宿る。伸縮し身体に寄り添う素材を通して、衣服と身体の境界が揺らぐ瞬間を表現した作品。

学生時代に制作したポートフォリオ。

自問自答し向き合った「消費」をテーマに
布と空間によるインスタレーション。「ほぐす」という手法を通して、消費社会への思考の変化を表現。中央のりんごは、生と死の狭間にある一瞬の美しさを象徴するモチーフ。
ブランドプロフィール

林 ひかり●2025年、大学とともにここのがっこうを卒業。チカ キサダとのコラボレーションでRakuten Fashion Week TOKYO 2026 SSに参加。FASHION FRONTIER PROGRAM 2025でグランプリ受賞、初個展を開催。ファッションを空間として捉え、新たな表現を模索している。 @hikar__work
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EUCHRONIA/ ユークロニア デザイナー



文化服装学院卒業の宮崎さんと佐藤さんによって立ち上げられたブランド。おのおのアパレル企業のデザイナーとして勤務した後、共にイギリスへ留学。2023年4月にユークロニアをスタートさせた。 Instagram:@euchronia_official