主流に迎合せず
選択肢を与える
エッジのきいた着心地のいい服を
『装苑』2024年11月号 掲載
デザイナーの木村由佳さんのアイデンティティを前面に出し、デビューコレクションにして確立した世界観を醸し出す、ムッシャン。2024-’25年秋冬コレクションでは「荒蕪」をテーマに無類の意を与えるストーリーを描く。
「デビューということもあり、何もないところから何かを生み出せるような意味でこのテーマを掲げました。正当な服作りからあえて外れた服の構築、例えばスカートのパターンをトップに用いるなどして、見たことがない違和感を生み出しています。また、型にハマりたくないという思いから自由にレイヤーを楽しめるボディコンシャスなスキンアイテムや小物も多く制作しました」
「木乃伊(ミイラ)」のイメージを落とし込んだコレクション
上 肌触りのいいコットン生地をつぎはぎにデザインしたセカンドスキン。ファーコート¥99,000、トップ¥29,700、キャミソールトップ¥31,900、パンツ¥58,300
(back) ミイラの乾いた肌の色をイメージしたざらりとしたベージュカラーはオーガンジーのコルセットに。¥35,200
モヘアの糸を使用したニットのセットアップ。トップは編み地の上から縫製をかけることでアンバランスに。¥59,400 スカートはあえてシンプルにボディコンシャスに仕上げた。¥44,000、キャップ¥12,100、マフラー¥13,200
革工房「Toya shunji toya」と制作した本革ベルト。タイプライターをイメージし、スタッズを散らばせたデザインに。デビューを記念してシーズン年を型押ししている。¥66,000
流行りに流されない独自のスタイルを生み出す姿勢は、4年間勤めていたヨウジヤマモトでの学びだ。「世界で活躍するブランドの制作現場を間近で見て、パターン一つでも1ミリ単位で妥協しないポイントを持つ。そういう積み重ねがどこにもないスタイルを確立していると感じました。私は流行りのコンサバティブな方向にぶれそうになるのですが、脱構築的なクリエイションを明確にし、何にもカテゴライズされないムッシャンだけの色を展開していきたいです」
ミイラに草が
芽吹くさまを表現
今季を象徴する手編みのファーニットジャケットは、草のようなバサバサとした撚糸を採用し、ミイラから雑草が生えるさまを表した。またサブテーマでもある生から死、また生へ行きつく“循環”というワードを、垂れた裾を脇の輪っかに通し円を描くデザインで表現した。¥159,500
右 カシミア混の素材を使用し、着心地にこだわったカットソー¥29,700、スカート¥39,600、マフラー¥13,200
スカートのパターンから脱構築したロングスリーブシャツ。柔らかなシースルー素材に肩パッドを入れることで美しいシルエットに昇華。¥47,300
デビューコレクションはブランドネームを外向きに配置。ディテールアクセントとして様々なアイテムに用いられた。
デザイナープロフィール
Yuka Kimura 木村由佳○1998年、日本で生まれ、幼少期を中国で過ごす。文化服装学院を卒業後、デザイナーズブランドの企画部に4年間在籍。2023年の夏にウィメンズブランド、ムッシャンを設立。’24-’25年秋冬シーズンにデビューした。Instagram @mukcyen
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EUCHRONIA/ ユークロニア デザイナー
文化服装学院卒業の宮崎さんと佐藤さんによって立ち上げられたブランド。おのおのアパレル企業のデザイナーとして勤務した後、共にイギリスへ留学。2023年4月にユークロニアをスタートさせた。 Instagram:@euchronia_official