『装苑』2023年5月号 掲載
photographs:Jun Tsuchiya(B.P.B)
ファッションデザイナーの仕事ってどんなもの? そのリアルを探るべく、新進気鋭のデザイナー、yusho kobayashiの小林裕翔さん、KIRIKOMIのソン・セイさん、nori enomotoの榎本紀子さん、PERMINUTEの半澤慶樹さんの4名の作業場に潜入!ものづくりに欠かせない基礎工程から、各ブランドならではの個性を感じる作業まで、クリエイティブな彼らのとある1日に密着しました。第一回目の今回はyusho kobayashiを手がける小林裕翔さんのとある1日を覗かせてもらいました。
たくさんの毛糸と、編み機やミシン、本が並ぶアトリエ。壁には制作にまつわるメモや小林さんが描いた絵、アート展のポストカードなどが貼られている。
yusho kabayashi(ユウショウ コバヤシ)● デザイナーは小林裕翔。2020年春夏に本格デビュー。日々の生活の記憶をイラストやコラージュに落とし込み、ハンドプリントや刺繍、ニットで表現するノスタルジックなコレクションが特徴。昨年は演劇公演『怪獣は襲ってくれない』にて舞台衣装を手がけた。
小林 裕翔 ● 京都府出身。2014年に立命館大学を卒業後、セントラル・セント・マーチンズに留学し、’19年に卒業。在学中の’16年よりコレクションを発表している。
Instagram@yushokobayashi
2023SS COLLECTIONの量産と’23-’24AW COLLECTION制作の1日
1シーズンあたり約400〜500点のアイテムをすべて手作業で制作し、展開しているユウショウ コバヤシ。この日は、まずニットとレースをミックスさせたトップの、衿部分のレースを縫う作業。機械で手編み風に、少し粗目に編んだニットと組み合わせて1着を作る。
次は、ネックレスとしても使えるウォレットチェーン作り。数色の毛糸を使って1点1点、色のバランスを変えながらチェーンに編み込んでいく。さりげない花や星のモチーフもアクセントに。
様々な種類のニットやレースの生地をパッチワークしてビスチェを作る。肩ひもはレースのリボンを手編みして制作する。この日は、小林さんとともにユウショウ コバヤシの制作を担う上原さんが、肩ひもを編む作業を担当。
商品を購入した方に配るノベルティのZINEの素材作り。2023SSのショーのインビテーションを切り貼りしたり、同じモチーフを手書きしたり、ブランド名のスタンプを押したりしながら思いのまま自由にコラージュしていく。
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