着る人の記憶とともに育っていくような
とっておきの一着を目指して
『装苑』2024年3月号 掲載
好きなものに出会った時の心がぎゅっとつかまれる特別な瞬間を大切にしながら一点物を展開しているブランドanonami。デザイナーの鳴海文乃さんがイギリスやフランスで買い付けをしたヴィンテージなどの生地を使って、立体裁断で作っていく服は、日常になじむような着心地のよさと、360度どこから見ても美しく変化を楽しめる繊細なデザインが魅力。
「パターンは体の動きを考えて何度も調整を重ねたり、着た時の見え方にこだわりながら細部まで慎重に時間をかけますが、生地選びは、冷蔵庫の中にある食材で料理をするみたいに、感覚的な部分を大事にしていて。同じパターンでも生地の質感によってボリューム感が変わったりするところも面白いなと思います。そうやっていろいろな場所から集めた生地を組み合わせていって作った服が、新たな人のもとへと届き、また旅をしていくことを想像すると、とても楽しい気持ちになります」
それぞれの生地が持つ個性を生かしてデザインされたドレス。
アクセサリーのように、合わせる服によって表情を変える巻きスカート。パーツによってフレアの分量が異なるため、着用すると立体的になり面白味を増す。大きめのポケットもポイント。
anonamiの服には、着る人の日々とともに記憶を重ねていく存在でありたいという鳴海さんの思いが映し出されている。
ヨモギとゲンノショウコで染めた、ほかにはない深みのある黄緑が魅力のドレス。
見る角度で表情が変わる立体的なドレス。スカート部分のスモッキングなど手仕事が光るスペシャルな一着。photographs:Jun Tsuchiya(B.P.B., still life)
Information
3月に葉山で行われる、「September poetry」のディレクター・矢野悦子さんが主催するイベントに参加。そして4月6日(土)〜8日(月)にはギャラリー「準備中」(東京都目黒区鷹番3-4-24)にて展示即売会を開催予定。anonamiの服に出会えるこの機会にぜひ足を運んでみて。
詳細はそれぞれのInstagramをチェック!
「September poetry」Instagram @september_poetry
「準備中」Instagram @junbichu_gakudai
ブランドプロフィール
Ayano Narumi 鳴海文乃○1990年生まれ。文化服装学院アパレルデザイン科卒業。アパレル勤務を経て、2021年冬よりanonamiをスタート。服飾造形家として活動。主に展示即売会にて販売している。Instagram @ano_nami
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EUCHRONIA/ ユークロニア デザイナー
文化服装学院卒業の宮崎さんと佐藤さんによって立ち上げられたブランド。おのおのアパレル企業のデザイナーとして勤務した後、共にイギリスへ留学。2023年4月にユークロニアをスタートさせた。 Instagram:@euchronia_official