
開封するのがワクワクするような、毎回手作りのショーのインビテーション。
小林裕翔さんがデザイナーを務める「yushokobayashi(ユウショウコバヤシ)」が、ファッションアワード「TOKYO FASHION AWARD 2026」を受賞し、3月18日(水)に、初めての参加となる「Rakuten Fashion Week TOKYO」で2026-’27年秋冬コレクションを発表した。
装苑ONLINEは、そのステージ裏に潜入。ここからさらに世界へと羽ばたいていく小林さん、そしてユウショウコバヤシのランウェイショーを共に作り上げ、深い信頼関係を持つクリエイターたちに取材を行った。
photographs:Jun Tsuchiya(B.P.B.)
▼yusho kobayashi(ユウショウコバヤシ)2026-’27年秋冬コレクションはこちら▼
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Designer 小林裕翔 × Director 岡本昌也

立命館大学の先輩・後輩という出会いから約7年という長い関係性を持つ、デザイナーの小林裕翔さん(写真右)と演出家の岡本昌也さん(写真左)。過去14シーズンとなるユウショウコバヤシのショーの演出を全て手掛けてきた岡本さん。また岡本さんの舞台では、数々の衣装を小林さんが担当してきた。今回は、独立した場所で続けてきたショーから、公式スケジュールへの参加という、ユウショウコバヤシにとっての一つの節目となった。その大切なショーの終了直後のお二人にお話を伺った。
小林裕翔
立命館大学を卒業後、ロンドン芸術大学セントラルセントマーチンズへ留学。
在学中より活動を開始。年二回コレクションを製作し、2019年同大学ファッションデザイン/ウィメンズデザイン学科を卒業後、 2020 s/s collectionより東京に拠点を移しコレクションを発表する。生活とアートから得たマテリアルと色彩を元に、全て手作業によるファッションコレクションを製作・販売する。
Instagram:@yushokobayashi
岡本昌也
1955年生まれ。劇作家、演出家、映画監督。演劇・映画を主軸に様々なカルチャーを横断する。パスティーシュを駆使したポップで散文的な作風で、“ミクストメディア”な作品を多数発表。演劇・映画共に、今後の活躍が期待されている。
Instagram : @0kamochi
――ショーを終えられていかがですか?
小林裕翔(以下、小林):楽しかった。(ランウェイショー前に)パリに行っていたので、時差があるなかでの連絡とか、テクニカルなことが大変でした。
岡本昌也(以下、岡本):今回、めちゃくちゃ良かったんじゃないかなと思っていて。裕翔さんの中で、「死」というものと「生きていく」という部分が、1個結実して昇華されたショーなんじゃないかなと思いました。裕翔さんはいつも服を作る前に、物語から話し始めるんです。今回だったら、オルフェウスの物語をテーマにやりたいとお伺いして、何もない状態から物語を作っていくのが楽しいですね。
――今回、なぜ「オルフェウス」をテーマにしたのか教えてください。
小林:死というテーマを考えた時に、大学の時の教授がいつもオルフェウスの話をしていたのを急にパッと思い出して。今の自分にぴったりだなと。

「オルフェウスが、決して後ろを振り返ってはいけないという約束のもと、死んでしまった最愛の妻を冥界に迎えに行くことが許されたが、顔を見たいがためい振り返ってしまい、生き返らせることができなかった」という古代ギリシア神話から、今回のランウェイショーを制作。
――服を作る前に、まず物語から入るんですか?
小林:そうですね。最初にコンセプトとか、物語を考えてから作っています。
――それを岡本さんに相談するのは、どのくらいのタイミングなんですか?
岡本:でも、4ヶ月前ぐらいには聞いていて。
小林:次、決まったよみたいな。服を作り始めるのは大体ショーの1ヶ月前なので、話していく中でいろいろな発見をしていきます。
――そのぺースは2人だからできること?
岡本 :でも、早いと思います。裕翔さんは服を作るのがめちゃくちゃ早いし。
小林:コンセプトを詰める時間のほうが長いです。結構ためにためてやっと作れる!と固まった時に、わーっと作っちゃう方がいいものができる。
――お二人にとってショーを完成させるというのは、本当に一つの作品なんですね。
岡本 :そうですね。裕翔さんが最初に、ふわっとしたテーマだけを持ってきて、それを実際に舞台で立ち上げていくとなった時に、今まで演劇で培ってきたノウハウを一つ一つ、裕翔さんのやりたいことに当てはめていって。“それいいね!”ってなったものを採用して、最終的にまとめるといったことを毎回やらせてもらっています。今回も伝わるかわからないけど、モデルさん一人一人に物語の役割があって。誰がオルフェウスで、誰が死んでいて、みたいなものが、全体のスタッフたちの軸に物語として通ってる感じが面白くて。
小林:今回のモデルのキャスティングは、ヘアメイクチームと一緒にやりましたが、結構演じることも多いので、岡本にも演劇の俳優さんを何人か入れてもらっています。

舞台は死後の世界をイメージ。当日の歩行案には、対峙してくる人(モデル)と逆行しながら見つけた大好きな人を地上に戻すというコンセプトが込められていたという。
――2025SSコレクション「Carmilla」でお父様の死について言及されていましたが、その経験が根底につながっているのですか?
小林:そうですね。「死」や「別れ」について結構最初からです。そこから、妖怪とかゴシックなものも好きになったりとか。
岡本:死の話は、ずっとしています。今回は、生き返らせられない、どう頑張っても死んでる人を死と受け入れられない人が、受け入れるしかないっていうのをやりたいと連絡がきて、それすごくいいねって。死については何時間も喋りました。
小林:今度は、一回ちょっと明るいのをやりたいです(笑)。
岡本 :(笑)。裕翔さんの扱う死って、反転してめちゃくちゃ明るいところがある気がしていて。逆に、生を感じさせる死というものを見つめることで、むしろ生きてることへの有限性とか、祝祭性みたいなものを大切にしている感じがするんです。

ステージ上に飾られたカーテンは、小林さんがパッチワークで制作をしたもの。
もう会えない人に会ったというお話から、“誰かの記憶の中に残る家”を表現したという。



毎回ショーには、旬なアーティストによるパフォーマンスが披露される。
@yoyoufree
――2人のコラボレーションというのは、ずっと続いていますね。
岡本 :僕のことを、裕翔さんが友達じゃなくて仲間って言ってくれるんですよ。それがとてもいいなと思っています。どういう意味でそう言ってた?
小林:格好つけてただけ(笑)。この前、パリで小さいプレゼンテーションをやってみたんですけど、岡本不在でやると結構反省点があって。改めて、岡本の演出力の大切さを感じました。
――最後に、お互いに対してのメッセージをお願いします。
岡本 :裕翔さんは、何にも縛られずにどんどんステップアップして、大きく羽ばたいてファッション界の伝説になってほしいとずっと思っていて。“Keep going on”って感じです。
小林:普通にもっと遊ぼう(笑)。
岡本 :たしかに(笑)。
小林:でも、本当に尊敬しています。
Main model 三宅花×雫瀬永紡

雫瀬永紡(右)
裕翔さんのショーは、今回で2回目の参加。パリで開催されたショールーム用の撮影にも参加させていただきました。初めてのパリ進出、そして楽天ファッションウィーク初参加と、節目の時にご一緒することができて、すごく光栄です。
Instagram:@narusenatsu
三宅花(左)
ランウェイショーに呼ばれること自体が初めてなんです。裕翔さんの服は、高校生の時からずっと着ていたので、メインの役をいただくことができて本当に嬉しいです。
Instagram:@87nimuchu


