
9月5日(金)、渋谷ヒカリエで発表された「VIVIANO(ヴィヴィアーノ)」2026年春夏コレクション。装苑オンラインはそのステージ裏に潜入し、ショーを支えるクリエイターたちに取材を行った。3シーズンを共にしてきた仲間たちの、今回のショーのクリエイションとヴィヴィアーノへの思いに迫ります。
photographs:Jun tsuchiya(B.P.B.)
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ヘアスタイリスト ASASHI
〜落ち着きから生まれる洗練されたクリエイション〜

ヴィヴィさんから今回のテーマについて伺った際、キーワードとなったのは“クラシック”でした。そこからイメージしたのがオードリー・ヘプバーン。彼女の夜会巻きと短い前髪が可愛いんじゃないかと、ヘアの方向性を提案しました。
ヴィヴィアーノの服はデコラティブで可愛らしい印象でしたが、今季はモノトーンでシック。そのためヘアにも、黒の要素を取り入れたくて、黒髪の前髪ウィッグをあえて分かりやすく付け、ザク切りにして遊び心を加えています。また夜会巻きを端正に仕上げてしまうとクラシックに寄りすぎてしまうため、テクスチャーを崩し、ブランドの持つパンキッシュなニュアンスをプラスしました。



ショーでは全方位から見られるため、ヘアは立体的な造形として完成度を高めることを意識しています。今回で言うと、しっかりと頭の丸みを作りながら、横から見た毛の流れを美しく、前髪のグラフィック感とのバランスを計りつつ、毛先のテクスチャーを変えたり、服に合わせてボリュームをコンパクトにまとめたり大きく見せたりと調整しています。

ヴィヴィアーノとご一緒するのは4シーズン目。チームは和やかな雰囲気ですが、視点は常に揃っているので、意見交換がしっかり行われ、洗練されたものが生まれるのがすごく魅力です。バックステージにギスギスした空気は一切なく、互いを理解し合いながらラフに高め合う環境が、自然と完成度の高いクリエイションにつながっています。ブランドチームも仲がいいので、本当に心地がよく、信頼できる現場です。
スタイリスト 山本マナ
〜モデルが笑顔になることはショーが成功したこと〜

今回はモノトーンで統一され、技術を見せるべき洋服だったこともあり、私自身も“削ぎ落とす”ことを意識しました。レイヤードや装飾は控え、シルエットやディテールがまっすぐに伝わるようなスタイリングに仕上げています。リハーサルでは、実際にモデルが歩いたときの印象やシルエットの見え方を確認し、必要に応じて最終調整を行います。今回は大きな変更はなく、メガネの有無だけ調整しました。


フィッティングでモデルたちが洋服を着たときに喜んでくれる瞬間は、私たちにとっても大きな喜びです。可愛い、着たい、と心から思ってくれるその反応に成功の確信を得るんです。ヴィヴィアーノの服は本当にモデルたちが喜んでいて、いつもそこが魅力だなと感じています。技術を尽くした服であり、“本当に着たい”と思えるリアルさが宿ること。それがブランドの強みだと勝手に感じています。


ヴィヴィアーノの現場で大切にしているのは「楽しむこと」。私たち自身が楽しめなければ、その空気感はお客様にも伝わりません。ショーって本当にさまざまなことが起こるし、ぶつかるものなんだけれど、ヴィヴィさんを含めこのチーム内の根底にあるのは“みんなで楽しもう”という共通の気持ち。だからこそ現場にはアットホームで前向きな雰囲気が生まれ、バタバタ感よりも一体感が強く生まれるのだと感じています。
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メイクアップ Asami Taguchi
〜デザイナーが宿す可愛らしい雰囲気とクラシックな強さを〜

黒のルックが多かった点と、“クラシック”というキーワードから、王道の赤リップを主役に据えたメイクを構成しました。目元は上下に黒のマスカラをたっぷりと重ね、眉は基本的に消していますが、モデルの個性に応じてあえて残す場合もあります。赤リップをより際立たせるために、仕上げにグロスでツヤを加えました。ショーにおいてメイクは「惹きつける強さ」が重要だと考えています。ひと目で印象に残る要素が必要で、今回は赤リップがその役割を担いました。


ヴィヴィアーノの服には、ヴィヴィさんの人柄を映すように“可愛らしさ”が常に漂っています。かっこよさの中に必ずキュートさがある。その雰囲気をメイクでも表現できていたら嬉しいです。


赤リップ MAC レトロリップスティック マット #707 (RUBY WOO)、MAC LIPGLASS
デザイナー Viviano Sue
〜ショーをすることは必然であり、やり甲斐〜

クリエイターの皆様には、特別なお願いをすることもなく、信頼してすべてお任せしています。キャリアもある方々なので僕が制限を設けるよりも託した方が、100倍素敵なものになるし、僕にはない発想を広げてくれるんです。服がまだない段階からイメージを共有し、カジュアルに意見を出し合いながら、いつも完璧に仕上げてくださる。本当に頼もしくて、毎回「大好き!」という気持ちでいっぱいです。今回も楽しいショーになりました。

やっぱり、ブランドにとってショーは、特別であり必然の場だと感じています。空間、音楽、ヘアメイク、そして服──すべてを使ってブランドの世界観やシーズンのテーマを表現することができます。半年間アトリエで作り続けたものを、わずか15分に凝縮して見せるのは本当に大変です。毎回ショーが終わるたびに「なぜこんなに大変なのにやるのだろう」と思いながら、それでもやっぱりやりたいと思ってしまう。それほど特別な体験だからです。お客さんの反応が直に見られるのも大きな喜びですし、今季も思い切った挑戦に対して、ポジティブなリアクションをいただけたことに安心しました。




僕たちのブランドは、クチュールの要素をきちんと日常に落とし込むことを大切にしています。特別な一着であると同時に、普段の生活に取り入れられる服であること。そのバランスを常に意識しています。フォルムや色の表現だけではなく、ヴィンテージの空気を纏ったような、ロマンティックな佇まいを持ち、女性が着ても男性が着ても美しく見える服。そういうスタイルをしっかり伝えていきたいですし、今季のショーを通して伝わっていると嬉しいですね。
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VIVIANO
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