今季のトップバッターを飾ったのは、「JFW ネクスト ブランド アワード 2025」のグランプリを受賞したTELMA(テルマ)。
ドリス ヴァン ノッテンとイッセイ ミヤケで経験を積んだデザイナー中島輝道(なかじま てるまさ)さんが手がけるTELMA(テルマ)は、2022年春夏シーズンよりスタートしたウィメンズブランド。ヨーロッパのメゾンで培った技術やデザインセンスと、日本の伝統技術を利用した開発知識を組み合わせたクリエイションを行い、色鮮やかでドレッシー、かつ環境に配慮した⽇常がより豊かになるような服作りを展開している。
コロナ禍にデビューしたこともあり、6シーズン目にしてブランド初のランウェイショーを開催したテルマ。会場は「渋谷ヒカリエ」のホールA。クランプハンズの曲と共に4本の光のラインが出現し、ショーがスタート。光のランウェイをモデルが四角を描くように歩き、服を披露していく。
日本全国の産地や職人とタッグを組みオリジナルのテキスタイルを開発しているテルマは、今シーズンも和紙100パーセントのテーラードジャケットや、こんにゃく加工のスカートを披露。また、京セラとの協業により、生産過程での水の使用量を削減できるインクジェット捺染プリンター「フォレアス」でプリント生地を制作。色出しが難しいとされる、シルクやナイロンの染色も得意なこのプリンターを用いた生地で、ワンピースやシャツ、スカート、スキントップなどを展開した。グラフィカルなテキスタイルで、大人の遊び心をプラスしている。
アイコニックな花モチーフは、シースルーシャツやコートなどにプリントされた。花の表現はブランドのシグネチャーであり、アルミホイルで作ったひまわりのブローチや、ネックレスといったアクセサリーのほか、本コレクションでは、ヘムが花びらのように揺れ動くスカートも披露して、会場を魅了した。
ドレープのテクニックも際立ち、身体のラインに沿って緩やかに布が落ちるシルエットは女性を美しく演出していた。
カラーパレットはモノトーンを基調に、オレンジ、イエロー、シルバー、ピンクなどの鮮やかな色を大胆に差し色とした。初のショーということもあり「挨拶を兼ねた」という本コレクション。「初めての東京でのショーでしたが、テーマはあえて設けておりません。裏テーマとして“鶴の恩返し”とはありますが、見ていただいた方々に素直に感じ取って欲しいと願っています」と中島さん。
抜群の色彩感覚と大胆な素材の組み合わせ、手仕事と最新技術の融合を高い造形技術でコレクションに昇華した、華やかな「挨拶」となった。
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