小塚信哉さん手がける「SHINYAKOZUKA(シンヤコヅカ)」が2023年SSコレクションとなる ISSUE #2 ‘FRIDGES IN THE AIR’ランウェイショーを今月19日に開催。会場は青々しい芝生が広がるアーチェリー競技場。ショー開始直前まではパラパラと雨が降っていたが、天が味方し、雨の引いた清々しい天候の中ショーが開始した。
SHINYAKOZUKAでは“全ての物事は明瞭である必要は無い”という思いから“BLUR”, ”VAGUE”, ”UNCLEAR”, ”HIDDEN”をメインキーワードに、新たな価値観をファッションに追い求めている。ブランド直営店となる「SMALL TRADES(スモール トレーズ)」を中心に、アジアやヨーロッパ各国のハイエンドなショップへ展開する注目ブランドだ。
デザイナーの小塚信哉さんは、日本でファッションを学び、その後セントマーチン美術大学へ留学。2015年よりブランドをスタートし、 ’18年には新人デザイナーファッション大賞を受賞。その後も‘19年東京ファッションウィーク初参加を皮切りに‘22年春夏シーズンにブランド初のフィジカルショーを開催するなど、着々とブランドを成長させている。
2023年春夏シーズンのテーマは“絵空事”。
ファッションは「まやかし」であると捉え、イミテーションや嘘も癒しや彩り、自信やパワーになることを声高らかに肯定するためのコレクションを展開した。
シーズンテーマの出発点となったのはブルース・ウェーバー氏が撮影を行ったマーガレットハウエル A/W 2001ルックブックと、潮田登久子(うしおだとくこ)氏の写真集「冷蔵庫」。ブルース・ウェーバー氏の撮る写真から、秋冬のルックであるのに夏らしさを感じるという体験をした小塚さんは、自身も「真夏に雪を降らせたい」とファッションの面白みであるコントラストにフォーカスを当てた。
潮田登久子氏の写真集「冷蔵庫」からは、外身は同じでも中身の個性が大きく異なり、「冷蔵庫」がパーソナルな空間のパーソナルなものであることに着想を得、ファッションで絵空事を描くという今回のテーマに影響を与えた。シーズンアイテムのコレクションをISSUE(課題)の様に捉え直した2022年SSからは、体と布の空間をデザインと考えたラフなルックも多く見られ、今回のコレクションでも極端すぎないゆとりのあるビッグシルエットが印象的だった。落ち着きと余白の感じられるニュートラルなカラーと、小塚さんがどの視点からもフレッシュなカラーとしてチョイスしたグリーンのルックの数々が登場。
グリーンにちなんで選曲されたアイスランドのポストロックバンド、「Sigur Rós(シガー・ロス)」の音楽と、プレーンなアーチェリー場の掛け合わせは、カラー際立つまさにコントラストの強調されたランウェイショー。「まやかし」を肯定するというストレートな表現が込められた、ISSUEの続きに注目したい。