6月24日から6日間の日程で、2026年春夏パリ・メンズファッションウィークが開催され、70ブランドが公式スケジュールで新作を発表。今シーズンの必見のコレクションや注目のトピックスをご紹介します。

メゾン ミハラヤスヒロ(MAISON MIHARA YASUHIRO)の今シーズンのテーマは「Ordinary People(普通の人々)」。
かつてファッションは、ライフスタイルや価値観を反映する“個人の表現”だった。しかし今では、中身よりも情報として消費される表層的で気まぐれなものへと変化しつつある。そんな時代に対するアイロニーとして、普通の人々の内面に潜む二面性に目を向けたことからコレクション制作が始まった。

デザイナーの三原康裕は二面性を表現するものとして、自身が1990年代末に制作したアウターを回想した。それは、デニムジャケットとMA-1を前後でドッキングさせたピースで、作業着(労働)と戦闘服(戦い)という、本来異なる意味をもつ服を組み合わせることで、あえて意味を崩し、無意味にも見えるデザインに落とし込んだものだった。


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今シーズンは、こうした手法の中にファッションと人間の関係性を巡る本質を見出し、原点回帰。具体的には、前と後ろで全く表情が異なるシルエットが形成され、長袖とノースリーブ、あるいは長袖と半袖での着用が可能な4本袖のアイテムが豊富に提案された。これらは、涼しい表情の奥に潜む人間の複雑な感情を想起させるもの。




絶え間なく変化する時代の流れに身を任せることが当たり前になっている現代において、“普通であり続けること”の大切さと異質さを、このコレクションは暗示しているのである。
歯磨き粉(?)のチューブ、ポテトチップスの袋、バナナなど、身近にあるものをモチーフにした楽しいアクセサリーにも注目を!



















































































































デザイナーの三原康裕さん。©B.P.B. Paris
Photos : Courtesy of Maison MIHARA YASUHIRO
Text : B.P.B. Paris