2月26日から9日間の日程で2024-’25年秋冬パリ・ファッションウィークが開催され、100以上のブランドが公式スケジュールで新作を発表。今シーズンの必見ブランドやトピックスをご紹介します。
2022年よりパリ・ファッションウィークに参加していたCFCLは、公式で初のランウェイショーを開催。
「最初のショーなので、もう一度CFCLの原点に立ち戻り、暮らしの中の道具としての服を提案するにはどうするべきかを考えました」とデザイナーの高橋悠介(Takahashi Yusuke)。3Dコンピューター・ニッティングの技術を中核にすえるブランドのコンセプトは、時代に左右されない衣服の提供。Vol.8となる今作のテーマは「Cadence(韻律)」です。
会場に設置されたのは一直線のシンプルなランウェイ。音楽を手がけたのはセルビア出身の作曲家フリスティナ・スザク(Hristina Šušak)で、弦楽四重奏の抑揚ある旋律の反復が、淡々と進行するショーに情感をもたらしました。
「今回は特に実用的であることを大事にし、そうでない要素を削ぎ落としていきました。そうしたときに服が持つ役割は、実は日常生活に変化をつけることではないかと改めて思って、そのリズムをつけるためのコレクションを考えたんです。彼女の音楽は緊張感があり、リピートのリズムと構成がとてもシンプルです。それがCFCLとマッチしていると思いました」
ニットウェアに焦点を当てたコレクションは、ミニマルなダブルブレストのスーツ、スポーティなセットアップ、オケージョンシーンのドレスなど、様々なスタイルで展開。マテリアルにはシルクカシミアやベルベットなどの上質な素材が使われ、きらびやかなラメやグラフィカルなストライプも目を引きました。ドレッシーな服に装飾された丸いスパンコールは、職人の手で一つ一つ丁寧に取り付けられています。
「控えめなエレガンスを大切にしたい。今の時代だから、スポーティなものも必要ですが、CFCLのスタイルはストリートウェアやビッグシルエットではありません。『モードとスポーツ』をテーマにした展覧会を観ましたが、フェンシングや乗馬など、ヨーロッパのスポーツ文化が貴族社会をベースに作り上げられていて、高貴なアティチュードが大事なのではと思いました。作りたかったのは、控えめで、ノーブルで、エレガントな服です。ショーに翻弄されないようにしたいという気持ちもありました。半年に1回、何か新しいものを作らなければ、というよりも日常的に買って着てくれるお客様をしっかり増やしていきたいです」
Courtesy of CFCL
All Photos : ©︎KOJI HIRANO
Text:B.P.B. Paris