1月17日から6日間の日程で2023-’24年秋冬パリ・メンズコレクションが開催され、78ブランドが公式スケジュールで新作を発表。今シーズンの必見ブランドやトピックスをご紹介します。
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タークは印象派絵画の力強いタッチを込めて
パリで2回目のフィジカルショーを行ったターク。デザイナーの森川拓野がコレクションに込めたのは、印象派の絵画が持つ力強さだった。
今シーズンの森川は「強い服を作りたい」という思いから、自分自身に向き合い、自分らしい服を作ることを追求したという。特に刺激を得たのはゴッホの絵画。絵の具の盛り上がり、絵から伝わる感情、作り手の魂そのものである。
「印象派の画家が持つ表面的でない強さに惹かれました。彼らの力強い絵画のタッチを表現できないかと僕らチームで油絵を描いたのが、このシーズンの始まりでしたね。それがファブリックの強さになればと思いましたし、人が見たときに圧倒されるものを作りたい、というのがあって」
ブランドの独自性は、デザインにおけるユニークな視点と生地のイノベーションへのこだわりにある。そこに加えられた筆のタッチは、まさに印象派の絵画を想像させるもので、色を塗り重ねたモチーフや勢いのあるストロークがコレクションに強烈なインパクトをもたらした。
クラシカルなチェックのウールからレザーへと変化するブレザーやコート、ブレザーとミリタリージャケットがシームレスに結合したアイテムなど、特殊なテクニックで作られた“二面性”もこのブランドならではであった。
ランウェイショーの後にはモデルたちが一列に並び、自由に見てまわれるという演出がとられ、興味津々に生地に見入る観者も。絵画鑑賞にも似た衝動と感動を与えたコレクションである。
「ブランドの強みを伝えることをきちんとやらなければ、というのが根本にあります。だから服を近くで見てもらいたい」と森川さん。
Text:B.P.B. Paris