1月17日から6日間の日程で2023-’24年秋冬パリ・メンズコレクションが開催され、78ブランドが公式スケジュールで新作を発表。今シーズンの必見ブランドやトピックスをご紹介します。
LOEWE
ロエベは伝統的なメソッドを非伝統的な方法で表現
クリエイティブ ディレクターのジョナサン・アンダーソンは、これまでも数々のアーティストと協業し、ファッションとアートを掛け合わせることで新たな化学反応を生んできた。
今シーズンのコラボレーターとなったのは、ロサンゼルスを拠点に活動する現代アーティスト、ジュリアン・グエンである。彼との対話から生まれたコレクションは、伝統的なメソッドを非伝統的な方法で用い、瞬間と動きをリアルタイムでとらえるという表現方法にスポットが当てられた。これは、古典絵画の巨匠のメソッドを使いながら、まったく新しい作品を創り出しているグエンの手法と重なるもので、彼の題材となった初期ルネサンスの絵画やSFなどのリファレンスもコレクションに影響を与えたという。
ショー会場となったのは無機質な白い空間。中央にはグエンがロエベのために制作したアートワーク2点が置かれ、親密な室内で過ごす少年の仕草が題材になった。モデルになったのは彼のミューズのニコスである。
JULIEN NGUYEN, Ubi Amor, Ibi Oculus 2023 ©Julien Nguyen, Courtesy Matthew Marks Gallery / Photo: B.P.B. Paris
“還元主義”と解説されたコレクションは、物質性の強調によりシルエットが明瞭になり、マテリアルには羊皮紙、銅、ベルベット、サテン、ウールなど、昔から巨匠画家たちが手にしてきた素材が使われた。羊皮紙のシャツはしわくちゃのまま固められ、天使の羽や彫刻さながらの銅ジャケットもある。それらは、リアリティとファンタジーの狭間にあり、服の一瞬の表情を捉えることで、そこにある人間の動きを想像させるものだった。
会場には、LOEWEに身を包んだKing Gnu(キングヌー)の勢喜遊さんとアーティストの森洸大さんの姿も!
Text:B.P.B. Paris