はいしん狂日記 #1
「見てしまう タイトルがどうも気になって」

音楽家で配信番組の沼にはまっているという入江 陽さんが、Netflixなどの動画配信サービスで視聴可能な
ドラマや映画の中から、各テーマに沿ったおすすめの作品とその魅力をご紹介します!

Yo lrie
歌手。作詞、作曲、映画音楽、プロデュース、文筆でも活躍。ひょんなことから配信番組の沼にどっぷりはまる。
Twitter:@irieyoo
Instagram:@irieyoo

おなかがすいていなくても、なんとなく冷蔵庫をあける。そんな雰囲気で自然に手がのびて、今日もNetflix や Hulu をひらいてしまった(ワクワク)。新旧・国内外問わず、大量の映像作品がならび、週に数十タイトルも新作が増える。そんな配信番組の海を泳いでいると、ヘンテコなタイトルがきっかけで作品に出会うこともある。

「ブル~ス一家は大暴走!」(2003~’05年)ディズニープラスのスターにて配信中
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まずは、「ブル~ス一家は大暴走!」。「ブル〜ス」という絶妙なダサさが気になって、視聴開始。全員変人の元富豪一家が大騒動を起こすブラックコメディ。ハチャメチャなストーリーを心地よいナレーションでつないでゆく演出は、不思議な中毒性がある。内容が徹底してナンセンスで意味がないので、見ていて脳が疲れない、そんな奇妙な癒し効果もあるかもしれない。

Netflixシリーズ「このサイテーな世界の終わり」(’17年)シーズン1~2独占配信中

次に気になったのは「このサイテーな世界の終わり」。タイトルだけでなく設定も強烈で、サイコパスを自称し、人を殺してみたい願望を持つ少年が主人公だ。音楽はブラーのグレアム・コクソンが担当、 1 話20分程度と見やすい長さ。そんなショッキングな設定が入り口でも、中身は繊細な人間ドラマで、「普通じゃない」人の「普通の」恋や人生を描く。果たして、普通とは何か。そういった点では、自閉症スペクトラム障害がテーマの「ユニークライフ」も心に残る作品だ。

Netflix映画『意表をつくアホらしい作戦』(’18年)独占配信中

最後は、『意表をつくアホらしい作戦』。インパクト大なタイトルに反して、内容は渋めで70年代アメリカのコミック雑誌編集者を描く伝記映画。その人物を知らずに見ても、洗練された美術や音楽のカで、映画の世界にすぐに入り込めた。史実を知らなくても楽しい伝記映画といえば、主演のジャック・ブラックが強烈な顔で詐欺師の音楽家を怪演した『ポルカキング』も要注目。名は体を表わすとはよく言ったもので、気合いの入った作品には、引っかかるタイトルがついている。配信作品は、ジャケ買いならぬ「タイトル買い」もけっこう有効なのだ。

『装苑』2018年4・5月合併号掲載

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