『牯嶺街少年殺人事件』のエドワード・ヤン監督作品『カップルズ』が、待望の4Kレストア版で劇場上映開始

世界中の映画ファンを魅了し続ける『牯嶺街（クーリンチェ）少年殺人事件』（1991年）を手がけた映画監督、エドワード・ヤン（’47〜2007年）。その後期代表作として名高い長編『カップルズ』（’96年）が4Kでよみがえり、劇場公開される。

本作は、経済成長を背景に国際化が進む’90年代の台北を舞台とした青春群像劇。幼稚園経営で一財を築くも、愛人に溺れて借金を抱えた父親に愛憎入り交じる気持ちを持つ“レッドフィッシュ”を中心とした4人の青年ギャング団が、フランスから恋人を追って台北にきたマルトに出会う。それから彼らの運命は、後戻りできないところまで転がっていく。

眩いばかりのネオンに照らされた台北の町で繰り広げられる悲喜劇は、都市の空虚さを映し出しながらも、人の心の機微を繊細にとらえたユーモアや希望も内包する。「30年前の台北の話」ではなく「今の私たちの話」として、いくつもの場面やセリフが刻まれることだろう。

『牯嶺街少年殺人事件』のファンとっては、「牯嶺街」では主人公のシャオスーを演じたチャン・チェン（写真上）や、仲間のフェイジー役だったクー・ユールン（写真下）、ワンマオ役のワン・チーザンがこの作品で再集結していることも感涙もの。

また、隠遁生活を送るレッドフィッシュの父親チェンの隠れ家や不良青年達のアジト、令嬢アリスンの家や美容室など、映画内に登場する数々の装飾・美術や、登場人物たちのキャラクターと時代を表す衣装など、4Kレストアになったことでより際立つ美的要素にも注目したい。

『カップルズ』4Kレストア版は、2025年4月18日（金）より上映開始。唯一無二の名作を見られるこの機会に、ぜひ劇場へ足を運んでみて。