Photograph:Jun Tsuchiya(B.P.B.)
「ニューバランス」の“9BOX“Tシャツコレクションは、「スポーツを楽しもう、ニューバランスとともに」をコンセプトに、シーズンごとのテーマに沿って様々なアーティストがグラフィックをデザインするもの。毎年Earth Dayに行っているパラリンアートアーティストとのコラボレーション第3弾となる今回は、3名のミュージシャンがオリジナルの楽曲を作り、3名のパラリンアートアーティストがそれぞれの曲から着想を得てグラフィックを描き下ろしたという新しい試みです。完成したTシャツとともに、それぞれのパラリンアートアーティストやミュージシャンの思いをお伝えします。そしてここでは特別に、文化服装学院の学生5名がこのTシャツのセルフコーディネートに挑戦!“9BOX”Tシャツのストーリーとともにお楽しみください。
※パラリンアートとは、「障がい者がアートで夢を叶える世界を作る」を理念に、障がい者の社会参加と経済的自立を推進する取り組みです。障がいのあるアーティスト(パラリンアートアーティスト)が民間企業・個人と連携することによって、社会保障費に依存せずに報酬を得ることができ、自立を目指せるように支援しています。
2023年の“9BOX“ Tシャツのモチーフは、
音楽からインスピレーションを得たアート
――「New Balance Earth ありのまま」
パラリンアートアーティスト 阿部貴志 × ミュージシャン AAAMYYY
阿部さんコメント
この作品は、EARTH DAYの音楽を聴きながら、即興で自由に色彩を塗り重ねました。第6感で描きました。ありのままの私で、統合失調症でも、ありのままで私の感じた色、好きな色、感じた造形、好きな造形で描きました。周りの人の目を普段は過敏に気にしちゃいます。ご依頼頂いた作品制作なので、ニューバランスの皆様のことを考え、音楽のイメージを考え様々に制作しました。でも、最後の1枚は、どう思われるか気にしないで、ありのまま描こうと思い、EARTH DAYの音楽を聴きながら作品に向き合い、私のEarthを表現しました。ありのままの心を大事にした作品になりました。
阿部貴志
1994年宮城県に生まれる。14歳の時に統合失調症を発症。入退院を繰り返し、闘病しながら絵を描いている。同じ病気の人や、障がいと共に生きる仲間たちにエールを送るため、病名を公表しながら精力的にアート活動に取り組んでいる。現在は仙台市の老人ホームにあるB型就労支援事業所に通所しながら創作活動を続けている。
AAAMYYYさんコメント
EARTH DAYに因んで、私の生まれ育った長野の森のざわめきや山鳴りを思い出しながら作りました。雨が降って山に磨かれた水が川になり、流れてやがて海と融合していくと、蒸発し大気に登ってまた雨となる循環システムの不思議。水の通り道である山で青々と息をする木々たちや、涼しくて澄んだ空気で満たされる場所は特別で、作り上げられた社会システムや人に疲れたときに必ず足を運んで身を委ねる、心と身体の拠り所です。そんな場所を曲に落とし込んでみました。
AAAMYYY
SSW/トラックメイカー。2017年からソロとしてAAAMYYY(エイミー)名義で活動を開始。2018年6月から’’Tempalay’’に正式加入、TENDREやRyohu(KANDYTOWN)のサポート、多種多様なアーティストとのコラボレーション、モデル、楽曲提供、CM歌唱提供等、幅広い活動で注目を集める。
Twitter:@amy0aaamyyy
Instagram:@amy0aaamyyy
――「とどけねがう」
パラリンアートアーティスト カナッペ × ミュージシャン ermhoi
カナッペさんコメント
こんな綺麗な曲を私が絵に?! というのが私の第一印象です。私と真反対な繊細さがあって、私で本当に大丈夫?と思いました。この曲から一番表現したかったことは、遠くの人とのつながりです!水や電波など、何気ない日常の中にあるもので繋がっているよ!ということを表現しました。伝わるとうれしいです。ermhoiさんの作ったハープと歌によるシンプルな曲は本当に美しすぎて、最初はよくわからなかったのですが、聞いていくうちにだんだん理解でき、ermhoiさんがいかにハワワな人(カナッペさん曰く「とっても素晴らしい人」という意味)だということが伝わってきました。
カナッペ
自閉症スペクトラム。2001年生まれ。2019年〜「ありがとうファーム」で働き始める。みずみずしい感性で絵を生み出す期待の新人。繊細さ/大胆さの両面を持ち様々な画材で閃きに満ちた表現をする。私は、まだまだ新人ですが毎日がとても楽しく充実していると感じます。小さい頃から絵を描くのが好きで色んな絵を描いていました。あまり人に見せることがなかったので、こういう機会をもらえたことに感謝をしています。
ermhoiさんコメント
この曲はハープと歌によるとてもシンプルなラブソングです。土と葉っぱの青臭さ広がる初夏には特別な思い出がたくさんあります。記憶の断片をつなぎ合わせるように重ねた、モヤモヤとしたシンセの音は、目を細めた時に遠くからぼんやり浮かんできた愛の記憶のようなものでしょうか。愛された記憶があればどんな世界でも生きていける気がするからこそ、人を愛したいと思うのかもしれません。
ermhoi
日本とアイルランド双方にルーツを持ち、独自のセンスで様々な世界を表現する、トラックメイカー、シンガー。2015年1st Album 「Junior Refugee」をsalvaged tapes recordsよりリリース。映画やTVCMへの楽曲提供、リミックス、ボーカルやシンセコーラスとしてのサポートなど、ジャンルやスタイルに縛られない、幅広い活動を続けている。
2018年に小林うてなとjulia shortreedと共にblack boboi結成。フジロック19’のレッドマーキー出演を果たす。2019年よりMillennium Paradeに参加。2021年12月 New Album「DREAM LAND」をリリース。
2022年より石若駿、マーティ・ホロベック、小林うてな、Taikimenを迎えた自身のバンド編成、ermhoi with the Attention Please としての活動もスタート。MONDO GROSSO、Maika Loubté、Sen Morimoto、東京塩麹など多くのアーティストの作品に関わっている。サポートメンバーとして石橋英子やHANA HOPEのライブにも参加している。
――「夜に咲く花」
パラリンアートアーティスト 加藤たけひろ × ミュージシャン 榎元 駿
加藤さんコメント
テーマとなっている音楽を聴いた時、NBの靴に花が咲き、その周辺を歩く人たちの姿が思い浮かびました。イメージの中では夜の風景だったので、靴のグレーで夜の感じをだしました。背景は、音楽の心地よさからインスピレーションを受けています。ペン、水彩、アクリル絵具と様々な画材を使用。夜に咲く花というイメージから、黒地の上に花を描いています。夜のアンニュイさと人々の日常感をミックスさせた作品に仕上げました。
加藤たけひろ
石川県出身。尾道大学大学院美術研究科美術専攻(油画)修士課程修了。
榎元さんコメント
ODD Foot Worksの夜の学校でもフューチャリングされているシンガーソングライターの宗藤竜太との共同作品。普段はアコースティックギターと声のみの作品をメインに作る宗藤の、生々しく繊細な表現を別ベクトルで魅せるべく、シンプルながら重厚感のあるトラックに仕上がっています。~以下宗藤竜太より~音楽をパラリンアートアーティストの方に渡す段階で作詞した前半部分で意識した事。ひとつ目は、「絵を描き続ける君」と僕が歩んできた道のりを僕目線で振り返り、気づきを君に告白する事。ふたつ目はテーマの「EARTH DAY」から連想し、地球と いう星での一日を君と僕がどのように重ねてきたかという事。パラリンアートアーティストの方から絵とそれに込めた想いを読ませていただいてから作詞した部分では、モチーフの「靴」や絵の具で描かれた花の色彩をみて、これからの未来に向かって歩みを進めるような前向きさを意識しました。加藤たけひろさんが曲から膨らませてくださったイメージは明るさがあって素敵だなと思いました。
榎元 駿
1996年生まれ、埼玉出身の音楽家。ODD Foot Works,1inamillionのベーシスト、トラックメイカーとして活動中。 「Summer」「燃えろよ桜」などのコンポーズを担当し、幅広いジャンルを用いた、大胆且つキャッチーな表現に定評がある。ベーシストとしては過去に中村佳穂、Tempalay、佐藤千亜紀、ryohuなどのサポートを務め、これからの活躍に注目されている。
▼3名のミュージシャンが制作したオリジナル楽曲はニューバランスのサイトにて公開中▼
https://shop.newbalance.jp/shop/e/eEnb-app-9box
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