KAI Hat & Head-piece Competition 2024 
第3回貝印主催帽子コンテスト受賞者決定!

2024.11.26

2024年で第3回目を迎えた、グローバル刃物メーカー貝印が主催する帽子のコンテスト、「KAI Hat & Head-piece Competition 2024」。今回テーマとなったのは“Origin of Hat~あなたにとっての帽子の原点~”。国内外から寄せられた多数のデザイン画から15点が優秀賞として選ばれ、実際に帽子を製作。そして11月8日に最優秀賞と審査員特別賞が発表された。

KAI Hat & Head-piece Competition開催について
1908年創業の貝印は、40年以上に渡ってアパレル業界やモノづくりの現場で、“切る” “つくる”を支えてきた日本が誇る刃物メーカー。この「KAI Hat & Head-piece Competition」は、世界を代表するHat & Head-piece designerの日爪ノブキさんとの出会いにより、「ハサミがクリエイションを下支えしている」という原点回帰がきっかけで、帽子文化の発展とクリエーターを支援するためにスタートしたコンテスト。また、貝印と日爪ノブキさんとで協力し、帽子作りに欠かせない世界最高峰のハサミを作ることを目指し、縫製ハサミを再定義するプロダクト「Ō(オー)」を共同開発。2025年~2026年にかけて発売される予定。

2024年最優秀賞は河内美和子さんに決定!

第一次審査で選出された15点の優秀賞の中から、みごと最優秀賞に選ばれたのは河内美和子さんの作品。美しいフォルムの帽子はすべて自然素材を使用したもの。河内さんには、盾と縫製ハサミ「Ō(オー)」、パリ・ファッションデザイン研修が贈呈された。また、審査員特別賞には、葉を400枚重ね合わせて製作された千頭龍馬さんの作品が選ばれた。

★最優秀賞 河内美和子さん
作品名「nature(ネイチャー)」

今まで培ってきた技術を詰め込んで出来上がった帽子なので、本当に嬉しいです。メインに使ったのは麦のブレード。ブレードをミシンで縫う工程が好きで極めたいと思って作りました。実は昨年も同じ素材を使った帽子で応募したんです。今回はその麦のブレードに紫陽花の花とクバの葉というすべて自然素材のものを合わせました。いちばんこだわったのは帽子のフォルム。自分でかぶりながら、どうすればいちばん美しく見えるかということに力を注ぎました。帽子のブランドを立ち上げているので、普段はもっと実用的なものを作っています。今回は今まで自分がやってこなかった帽子をデザインして、新しい扉を開いてみるような感覚で挑戦しました。自由な発想で日常から解き放たれて思い切りやってみたいと。苦労したのは帽子の下の部分に使ったクバの葉の扱いです。沖縄に原生している葉で、よく団扇や傘などの工芸品に使われるのですが、乾燥させて使用するため壊れやすく、帽子のフォルムになじませるのが大変でした。最優秀賞として縫製ハサミ「Ō(オー)」をいただきましたが、切るのが楽しくなりそうなハサミなので、素敵なコサージュがついた帽体のフェルトの帽子を作ってみたいです。

河内美和子さん
2004年モード学園卒業後、老舗帽子会社にデザイナーとして勤務。在勤中サロン・ド・シャポー夜間部にて本格的に帽子制作を学ぶ。2010年退職後、モディスタとしての活動スタート。イタリアの老舗帽子メーカーGREVIにてインターンシップとして滞在。2015年自身のブランドMia Hat &Accessoryを立ち上げる。

★審査員特別賞 千頭龍馬さん

作品名「Cokage Hat(コカゲハット)」
帽子の原点として、幼少期の記憶をインスピレーションにしました。外で遊ぶことが好きだった私の帽子になってくれていた木々の織りなす影、木陰がモチーフになっています。モクレンの葉を400枚重ね合わせることで成形した継ぎ目のない形状は自然の中で過ごす時に感じた安らぎと保護を表現しています。

審査員コメント
日爪ノブキ Hat & Head-piece designer
今回プロの帽子デザイナーの方が受賞されて、同業者としてとても嬉しく思います。クリエイションというのは、思い描いたものをうまく着地させる技術力という、常にその両輪が大切になってきます。過去2回のコンテストは、もちろん素晴らしいものでしたが、どちらかというとオブジェの延長戦上のヘッドピースでした。この3回目は、その両輪を駆使した作品が多く、とてもレベルが上がったと思います。審査でこだわっていたのは、作品から伝わってくる説得力。仕上げが専門的で完璧じゃなくても、緊張感をもたせて作られているものが多かった。未熟でも完成しているということです。そして私が感心したのは、コンセプトやアイディアソースなどの着眼点。私が見えている範疇外のものを選んでいたので、自分にとっても学びが多かったです。最優秀賞の河内さんの帽子はとても美しいフォルムを描いた素晴らしい作品でした。帽子デザイナーの私から強いて言うならば、きれいに作ることに執着しすぎると古めかしい帽子になってしまうことがあります。この作品ももっと時代感やフレッシュさを取り込み、ファッションということを意識したら、さらに輝くものになったかと思います。

1979年6月24日、滋賀県生まれ。2004年に文化服装学院アパレルデザイン科を首席で卒業後、渡伊。イタリアのメーカーよりアンダーウェアのデザイナーとしてコレクションを発表。帰国後、国内外の舞台やミュージシャンの帽子・ヘッドピースを手がけ、同時にアーティスト活動として「NOBUKI HIZUME」を展開。2009年よりフランスに拠点を移し、数々のグランメゾンのパリコレクション用の帽子を手掛けている。2019年、フランス国家最優秀職人章に認定。同年、帽子ブランド「HIZUME」をスタート。
WEB:https://hizume.com

鈴木 曜 貝印株式会社 CMO
最優秀賞の河原さんは、デザイン画の段階からとても力があると感じていました。コンセプト自体も絵と相まって、とても楽しみにしていたんですけど、完成したものはそれ以上でした。技術的にも精緻に作られていて、立体の出し方やボリューム感、自然素材の使い方などのバランスも素晴らしかったです。前回までのコンテストは絵が素晴らしくても、実際に具現化したときにトーンダウンしてしまう作品がありました。今回はデザイン画そのまま、もしくはそれ以上で、帽子1つにストーリー性が感じられるところに感動しました。いちばん期待した部分は、造形などの技術の手前の、オリジナルハットのコンセプト。どれだけデザインに落とし込めているかを審査しました。「すべての人に、最高の帽子を届ける」をミッションにしたのは、貝印の視点で言えば、帽子を作るための最高のツールを提供していくことで、最高のクリエイションをしていただく。さらにはこのようなコンテストを企画し、帽子文化というものをもっと知っていただくということが理由です。今後は、アメリカやフランスなどの海外から、日本で開催しているこのコンテストを目指してくるように発信していきたいです。

1978年7月31日生まれ。法政大学経営学部を卒業後、富士重工業株式会社(現:SUBARU)に入社。その後スウェーデンのクリエイティブ企業、グレートワークスに転職し現在はCCOも兼任。近年は、クリエイティブディレクターとして、国内外で表現制作や企業プロモーション制作を行いながら、俳優の夏木マリ氏のパフォーマンス「PLAY×PRAY」の動画演出や、漫画家のタナカカツキ氏が手掛ける「渋谷SAUNAS」のエグゼクティブアドバイザーもつとめるなど、幅広く活動。2019年には、ForbesJapan誌「世界を変えるデザイナー39人」に、2021年には日経「マーケターオブザイヤー2021」にも選出。

貝印株式会社 社長 遠藤浩彰 コメント

回を重ねるごとに参加者の方が改善点なども反映させながら応募していただけているので、このようなレベルアップしたコンテストになりました。私は職人ではないので、デザインされたものが実際に形になってくる過程を想像するのは難しいのですが、完成した作品が目の前に現れると驚きと感動で言葉もなくなります。共通のテーマのもとに皆さんが作り上げたものは、それぞれバックグラウンドも違うし、インスピレーションも違いますが、個々の思いの中で発想を広げたことで、このようにさまざまに素晴らしい表現が出来たのだと思います。最優秀賞の河内さんの帽子も美しいですが、審査員特別賞の千頭さんの帽子も目を見張るものがありました。皆さん二次元を三次元に広げ、空間を自由に使われていることにとても感心させられました。この帽子のコンテストは、将来を目指す若者たちの通過点かもしれません。多くの方に参加いただき、世界に羽ばたくクリエーターを輩出できることを願っています。今回帽子デザイナーの日爪さんと、縫製ハサミ「 Ō(オー)」を開発しましたが、常にもの作りをする人のそばにあって、世界に羽ばたくクリエーターの素晴らしい相棒になってほしいと思います。

1985年6月5日、岐阜県関市生まれ。貝印創業家の長男として生まれる。2008年に慶應義塾大学を卒業後、同社入社。生産部門のカイインダストリーズ株式会社や海外関連会社kai U.S.A. ltd. への出向を経て2014年に帰任。国内営業本部や経営管理本部の副本部長を経て、経営戦略本部、マーケティング本部、研究開発本部の3部門で本部長を歴任。2018年から取締役 副社長就任を務め、2021年5月25日付で貝印株式会社 および カイインダストリーズ株式会社 代表取締役社長 兼 最高執行責任者 (COO)に就任。

審査風景

最優秀賞と審査員特別賞の審査は、10月末に貝印本社にて実施。4名の審査員が作品をひとつひとつ手に取りながら審査を行った。

2023年受賞者パリ・ファッションデザイン研修

2023年に最優秀賞を受賞した下敷領泰将さんの、パリ・ファッションデザイン研修の様子。日爪ノブキさんのアトリエをはじめ、パリ有数の美術館や帽子ブティック「Sandrine Bourg」、世界的な帽子美術館「ATELIER-MUSEE DU CHAPEAU」を訪問した。

他の優秀賞作品及び、2025年の募集要項(4月ごろ告知)についてはこちら
お問い合わせ 貝印お客様相談室
https://www.kai-group.com

RELATED POST

「加茂克也 KAMO HEAD」展 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館にて開催中
文化服装学院で学び海外で活躍するには?【文化服装学院100周年記念連載vol.12 最終回...
「加茂克也 KAMO HEAD」展丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で開催
清澄白河のアトリエマクリにてANTHEM A(アンセム エー)の期間限定ストアがオープン!...
タナカ ダイスケが伊勢丹新宿店にてポップアップショップを開催中!ヘンネとのコラボレ...
賀来賢人、チャ・ウヌ、坂東龍汰、TOMORROW X TOGETHERが来場!DIOR(ディオール)202...