コシノジュンコと現役文化生が語り合う、ファッションの世界で生きていくということ。【文化服装学院100周年記念連載vol.1】

作品で自己紹介!

ここでは、コシノジュンコさんと対話をした4名の学生が、自らの作品を見せたり勉強している分野を伝えます。特別に短評もいただきました!服飾を志す人はぜひ読んでみて。

学生たちの作品。右の2点は窪田さんの作品、中2点は高橋さん、左2点はパラミタさん。

 JUNKO’S EYE 

「大切なのは、何を作ったとしても、人が着るという前提を忘れないこと。一歩も動けない服は造形的で素敵かもしれない。でも、素敵なだけじゃなくて『人が着る』ことを忘れないでほしいですね。

 それに、マネキンに着せるよりも自分で着たほうが、わかることがもっと増えると思いますよ。自分で着ると着心地や気分がわかるけれど、そうでなければ他人事なんです。『私は着ないわ、だけど誰かが着てくれるでしょう』、これでは無責任じゃないかな。いくら面白いデザインをしても『私は着るわ』っていう意気込みがないと、嘘をついていることになる。女性はもちろんですが、男性だってワンピースなりレディスを着ていいのですから、まずは自分が着たいと思うものや、着られるものを作ることです。

 いいものづくりは根本的なことですが、あとはそれが生活になるかも考えてください。私がアートを好きなのは、原価計算じゃないところなんです。アートって絵の具代がいくらだからこの値段……というものじゃないでしょ(笑)。ファッションも同じなの。感性で人に喜んでもらい、それがお金になる。その価値を高めるための流通をしたらいいと思うんです。頑張ってくださいね!」

photographs : Jun Tsuchiya (B.P.B.)/hair & makeup:Kazunari Miyasaka(mod’s hair)

「装苑」2022年11月号掲載

「コシノジュンコと現役文化生が語り合う、ファッションの世界で生きていくということ。」
の動画版を、「文化服装学院YouTubeチャンネル」で公開!テキスト版では語られなかった内容も含んだ特別版です。動画ならではの臨場感とともに、こちらも、記事とあわせてお楽しみください


Junko Koshino ●大阪府岸和田市生まれ。文化服装学院卒業。ファッションデザイナーの登竜門「装苑賞」を最年少で受賞。1978年より22年間パリ・コレクションに参加し、ニューヨークやキューバ、北京など世界各地でショーを開催。ファッションを通じた国際的な文化交流に力を入れる。オペラ『魔笛』や『蝶々夫人』、ブロードウェイミュージカル『太平洋序曲』、DRUM TAOの舞台衣装のほか、国内被災地の復興支援活動も行う。文化功労者顕彰、レジオン・ドヌール勲章シュバリエをはじめ受賞歴多数。TBSラジオ「コシノジュンコMASACA」(日曜17時~)が放送中。

文化服装学院
日本で最初のファッション専門学校。その歴史は、大正8年(1919 年)まで遡ります。当時はまだ、着物が主流だった時代。そんな中で生まれた小さな洋裁学校がその起源。1923 年には、国内最初の服装教育の学校として認可され、以降、約100 年にわたって、日本のファッション教育の中心的役割を果たしています。あの有名ブランドのデザイナーも、お馴染みのスタイリストやジャーナリストも文化服装学院の卒業生。詳しくはこちらから。

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