日本のアイウエアブランド「EYEVAN」の設立50周年を機にショーイベントが開催された。そのスタッフには、広告やアーティスト作品などで注目を浴びるクリエイティブディレクター、アートディレクターのRakさんの企画・演出をはじめ、スタイリング・衣装デザインはRemi Takenouchiさん 、映像・演出はPERIMETRONのOSRINさんが手掛けるなど、人気のクリエイターたちが集結。商品やそのデザインを披露する形ではなく、ブランドのコンセプトである「着る眼鏡」から着想した、約15分間の身体表現のパフォーマンスが繰り広げられた。旧約聖書をモチーフに、欲望のトリガー「蛇」が禁断の果実を食べて「人」になり、魅せることを覚えた瞬間を描いている。出演のメインとコレオグラフィーはダンサーの菅原小春さん。スキニーな衣装が映えるパフォーマンスは強くも美しい印象を放った。
企画・演出:Rakさん(クリエイティブディレクター・アートディレクター)
EYEVANは日本初のファッションアイウエアとしてローンチしました。眼の服、まさにアイウェアという概念を象徴しています。また、本質的で職人気質でありながら、眼鏡のあり方を変えたり、芸術思考で進化を止めない革新的なスタイルが共存していることもEYEVANのアイデンティティーだと思います。今回このチームでランウェイショーの枠を超えて、クリエイティブを作り上げることこそがブランドのスタイルを体現できるのではないかと思いました。
人が装うことや魅せるという欲求に出会う瞬間を演出のキーにしました。旧約聖書でアダムとイヴが自分たちの欲望に対する恥じらいや罪を感じながらも、人という存在になるところになぞらえています。林檎の木の前に佇む小春ちゃんのその姿は、旧約聖書の最初の人類の姿と重なるものがあり、だんだんと自身の内側から湧き上がる欲望のままに、無垢な存在からファッションを知った”人”に成るという構成になっています。小春ちゃんやダンサーのみなさんには今回のコンセプトワードと、「蛇」と「林檎」という旧約聖書の最小単位の要素をお伝えし、大まかな構成やコレオグラフィは小春ちゃんに汲み取って作ってもらいました。小春ちゃんの周りを駆け回る蛇たち、それらが影響し合い大きな命の塊のように。ダンサーのみなさんは本当に美しくてチャーミング、そして力強い。彼らの身体と表現欲に今回のショーのコアを委ねました。
スタイリング・衣装デザイン:Remi Takenouchiさん(スタイリスト)
今回はコスチュームデザイナーの武田久美子さんと共同で制作させて頂きました。パフォーマンスが完成する前から取り組む必要があったため、様々な試行錯誤はありましたが、どのような動きにも対応できる機能性、そして、菅原小春さんという素晴らしいダンサーを迎えるわけですから、彼女の動きやありのままの身体の美しさがわかるようなデザインを意識したんです。
演出の核となるものはアダムとイヴ。生まれたままの姿をスキニーなイメージに、また、アダムとイヴ以外に「蛇」という存在が登場するので、脱皮や生命の起源のようなものをモチーフとして加えています。人間の体の美しさを生かしつつ、人間ではないように見せるためにミニマルに落とし込みました。
映像ディレクション・演出:OSRINさん(映像作家・アートディレクター)
考え方として、大きな器にそのショーというものがあったときに、その食べ物をどういうお皿で、品質で、取り分けるかというのがこのプロジェクトの発足当時から大切にしていたこと。舞台美術や照明演出を考えるにあたって、映像屋の観点でショーと映像を常に往復して考え、意見し、設定していくことが今回の企画に対しての最善のアプローチでした。
ショーを邪魔せずに記録するという形だけではなくて、絶対的に強固なコンテンツを生みたいというのがRakの考えでした。だとしたら、カメラの台数を限りなく減らしてクオリティーファーストな機材とスタッフの陣営を組み立てようと思いました。あくまでも最高な状態で大きな大皿を完成させた上で、どう他と違うお皿にこだわってのせるか。それを誰の前に置くかはワクワクしましたね。
※制作された映像は10月17日(月)よりEYEVANの50th特設サイトにて展開
EYEVAN
WEB:https://eyevan.com/
Instagram:@eyevan_official