誰もが否定されず
自由であっていいと
思い直せる服を
『装苑』2024年7月号 掲載
古着をリメイクするブランド、再倖築。一種のアート作品のような奇抜でモードな雰囲気をまとい、Z世代からすでに注目を集めている。デザイナーの田尻永太さんは、日々の出来事から、ものづくりに思考を巡らせるという。
「例えば、食事時に目にする米粒のシルエットや、散歩で見かけた蜘蛛の巣など、僕にとって日常のすべてがデザインのヒントになっています。手法マニアでもあり、気になった技術はすぐに試してみたくなるんです。そんな性格上、一から服を作るより、製法をすぐに生かせるリメイクのほうが性に合っているように感じました。学生の頃から、覚えたアレンジを次々と古着で実践し、それをSNSに投稿、販売するようになり、ブランド立ち上げにまで至りました」
ブランド初のコレクションショーをパリで開催
世界各地のファッションウィークに気鋭デザイナーを送り出している「Global Fashion Collective」の推薦を得てパリで開催したコレクションショーでは、ブランドの立ち上げメンバー、西澤光太郎さんが直接ペイントしたジャケット(上)や、ニットの端ぎれを集めてドッキングしたニットドレス(下)を披露した。
AIの自由な
発想からなるイメージルック
2023年春夏コレクションより。白バックで撮影した被写体に対しPhotoRoomというアプリのAI機能を使い、背景を作成。
そのユニークな服作りにおいて軸となるのは、誰も見たことがないものを生み出し、個性豊かに仕上げること。
「固定観念にとらわれず自由な生き方をファッションで提示したいと考えています。服作りを始めて間もない頃に、『肩にかかれば服だよ』と先生に教わって、開放された気持ちでした。常識をなくした服を多く提供することで、人の目ばかり気にせず、自分の好きなファッションを楽しむことが素晴らしいのだと少しずつ伝えていけたら嬉しいです」
ブランドを確立させた
ネクタイフレアパンツ
ネクタイで何か作れないか考えていた時、広がったラインを生かしパンツの脇に入れ込めばフレアパンツになるのでは?と思いつき、制作したところ、ブランドの人気商品に。立ち上げ時より作り続けているシグネチャーアイテム¥36,000
本来ニットの修繕に使われるほどく手法をあえてデザインに用いたニット¥34,000
右ジャケットの前身頃を大胆にカッティング。切った先を首の後ろに引っかけることでハイネックのような新たな衿が現れる斬新なジャケット¥32,000
ブランドプロフィール
Eita Tajiri 田尻永太○2001年生まれ。’23年、総合学園ヒューマンアカデミー東京校を卒業。学生の時に再倖築を立ち上げ、卒業と同時に本格的にデザイナーとして活動。特徴的なデザインがスタイリストなどの間で評判になり、様々な著名人の衣装を手がける。’23年9月、パリにてコレクションショーデビュー。現在も積極的に新しいファッションを提案し続けている。@saikouchiku.co.jp
そのほかのニューカマーも気になる?
EUCHRONIA/ ユークロニア デザイナー
文化服装学院卒業の宮崎さんと佐藤さんによって立ち上げられたブランド。おのおのアパレル企業のデザイナーとして勤務した後、共にイギリスへ留学。2023年4月にユークロニアをスタートさせた。 Instagram:@euchronia_official