NEW COMER
期待のニュークリエイターファイル
ablankpage(アブランクページ)

2023.12.08

固定概念にとらわれず

真っ白なページに物語を書き進めていくように

『装苑』2022年9月号 掲載

空白のページを一つずつ埋めていくように、自由な発想で新しいものを生み出していける場所を作りたいという思いで、2022-’23 pre AWコレクションより自身のブランド、アブランクページをスタートさせたラロパイブン・プワデトさん。’19年の第93回装苑賞では、視覚障害のある方との出会いから発想し、スタッズを使った点字や、こすると甘い香りを放つ生地など、服にユニークな仕掛けを施して、見えない愛の形を表現した。自らの経験や記憶の中にあるものから着想を得てデザインを生み出していくというプロセスは、今もブランドとしての軸になっている。

「母国であるタイの文化など、自分にとって欠かせない要素は、自然とコレクションにも反映されています。’22-’23AWコレクションでは、中学、高校と通っていたキリスト教の学校での記憶や、ベトナム戦争などからアイデアを膨らませていき、一度壊れたものから新しいものを作り出すというコンセプトのもとデザインしました」

シャツの上に羽織っているジャケットは、フラッシュを当てると光る特殊な素材を使用。

タイ人として日本で暮らす中で感じる様々な葛藤から「ステレオタイプをなくしたい」と考え、性別や年齢、体型などを気にせず、誰もが自由に着られるような、ユニセックスかつシルエットの美しい服にもこだわっている。

「まずは日本でブランドとして成長して、将来的にはロンドンやニューヨークなど新しいステージにも挑戦したいです」

シャツやアウターとしてだけでなく、ワンピースとしても使える程よい丈感が魅力。ひもの絞り方でシルエットに変化をつけられる。

衿は立ち上げるとフードにもなる仕組み。

カラフルなおもちゃのようなパーツがちりばめられたヘッドピース

着用したまま椅子に座っても、裾がしわにならないようにするため、ファスナーの位置にこだわるなど、着る人のことを考えて作られた(B.P.B.,still life)

すっきりとしたシルエットの美しさがありながら、男女問わず着られるほどよいサイズ感が魅力。 photographs : Jun Tsuchiya(B.P.B.,still life)

2022-’23AWコレクションを象徴するルックの一つ。大ぶりな衿が印象的なコートや、ケープがついた存在感のあるハットが目を引く。 photographs:Daria Yam / model:Alexander

ブランドプロフィール

Larprojpaiboon Phoovadej ラロパイブン・プワデト●1996年生まれ、タイ・バンコク出身。ファッションデザイナーを志し日本に留学。ドレスメーカー学院、ここのがっこうを経て、2021年に文化ファッション大学院大学を卒業。’22年より自身のブランドをスタート。2023AWより サステナブル ラインAS YEARS GOES BYS を立ち上げ、クリエイティブ ディレクターとして活動している。「アブランクページ」 ablankpage.official@gmail.com Instagram @ablankpage._official

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EUCHRONIA ユークロニア デザイナー

文化服装学院卒業の宮崎さんと佐藤さんによって立ち上げられたブランド。おのおのアパレル企業のデザイナーとして勤務した後、共にイギリスへ留学。2023年4月にユークロニアをスタートさせた。 Instagram:@euchronia_official

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