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アンナ・チョイ「時代を切り開いてきた女性たち」
【ファッションデザイナーにとってのミューズとは?】

2023.08.18

自立して、時代を切り開いてきた女性たち

ミューズたちがコラージュされたムードボード

ブランドを立ち上げる前の学生時代に制作。ナイチンゲールや起業家など歴史的偉人の写真や絵画のバックグラウンドとなるミューズのイメージをコラージュ。ブランドのコンセプトとなっていることがよくわかる。

 アンネ・フランク、ナイチンゲール、マザー・テレサ、フリーダ・カーロetc.……ヘンネのデザイナー、アンナ・チョイさんにはたくさんのミューズがいる。その共通点とは、自立して時代を切り開いてきた強い女性。

ルイザ・メイ・オルコット作の小説『若草物語』の次女・ジョーは、作家を目指す、自立した女性。
© 2019 Columbia Pictures Industries, Inc., Monarchy

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』デジタル配信中、ブルーレイ&DVD¥5,217
発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

「フィクションな存在ですが、『若草物語』のジョーもそのひとり。19世紀に生きる女性の悩みや人生の選択に共感して原作も読み、映画も何度も見ています。現代の日本人の方だと、黒柳徹子さんや冨永愛さんなど。新しいものを生み出すこと、そして、挑戦することを恐れず、未来につなげる力を持たれた方だと感じます。万人に受け入れられるかより、自分で自分を愛することのできるような生き方をされているところに憧れます」

イメージビジュアルにはミューズをモデルに

Chapter2シーズンのテーマは「踊り子」。クラシックバレエダンサーの飯島望未さんを起用した撮り下ろしビジュアルを制作。飯島さんは新しいバレエの道、広い世界への認知を切り開いている尊敬する存在。

 2021年に立ち上げたヘンネは、こうしたミューズたちからインスパイアされて、「強きロマンチストのための服」をコンセプトにしている。立ち上げ前に制作したポートフォリオには、彼女自身の、そしてブランドのミューズとなる女性たちの写真をコラージュしたムードボードがあり、ブランドスタートしてからの2シーズンには、同年代のミューズを実際にモデルに起用したイメージビジュアルを制作している。

 そんな著名な女性たちとともに彼女が挙げるのが祖母の名だ。在日韓国人である祖父母がなじみのないこの土地で力強く、また自由に生きている姿が幼い頃から記憶にあるという。中でも、祖母からは多くの影響を受け、今のものづくりにもつながっていると語る。

「祖母は昔から工芸や美術、ファッションなどが好きで、私の学校が休みのたびにミュージアムやギャラリーに連れていってくれました。神戸から少し足を延ばして京都へお寺巡りに行ったり、小学校の卒業祝いにパリへ連れていってくれたことも。当時は絵画や建築物の素晴らしさなど正直わかりませんでしたが、何もわからなくてもいいからとりあえず本物を見ておくことが大切だと教えてくれました。そんな祖母は私の中で一番身近なミューズ的存在です」

アンナ・チョイ Anna Choi
1992年生まれ、兵庫県出身。ニューヨークと日本でファッションを学ぶ。2017年、文化服装学院在学中にコンテストでの受賞をきっかけに、イギリスのノッティンガム・トレント大学へ留学。その卒業コレクションで発表した作品が「VOGUE TAIWAN」などで注目を浴び、’21-’22年AWにブランドを立ち上げる。ブランド名のヘンネ(HAENGNAE)は自身の韓国名に由来するもの。ニューヨークの自由な表現力、日本の職人技術、ヨーロッパのクチュールに自身のアイデンティティを融合させた唯一無二のアイテムを展開。
WEB:https://haengnae.com/
Instagram:@haengnae_official 
        @anna___choi

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