6月24日から6日間の日程で、2026年春夏パリ・メンズファッションウィークが開催され、70ブランドが公式スケジュールで新作を発表。今シーズンの必見のコレクションや注目のトピックスをご紹介します。

ジュンヤ ワタナベ マン(JUNYA WATANABE MAN)は、2004年秋冬コレクションを再現するという、ユニークなクリエイションを披露。
「古いのに新しいと感じるもの、また古いものを再現する過程で生まれた新しいものに興味を持ちました」とデザイナーの渡辺淳弥。
「2004年FWのMANコレクションでは、アンティークマーケットに並んだインテリアファブリックを使ってテーラードスーツを発表しましたが、今回はそれらを再現して新しく見せる試みです」

ビンテージ風の生地で構成された今シーズン、豊富に展開されたテーラードジャケットは、ジャストフィットのサイズ感はそのままに、ファブリックの古典であるブロケードを多用。褪せた色、劣化したような加工を施した生地もある徹底ぶりで、当時のコレクションでも使われた百合の紋章模様が印象的だった。

トラッドなチェックパターンのスーツも再現された一方で、ボトムには、ストレート、テーパード、ベルボトムなど、多様なラインが揃う。インナーにはシャツやポロシャツを合わせ、素肌にジャケットを着用した軽快なスタイリングも見られた。

続くセクションでは、クラシカルなタキシードシャツを様々な手法でアレンジしたルックが提案された。コスチュームジュエリーやネクタイを重ね付けし、スカーフを装飾した華麗な一着もある。

アートとの融合も見どころのひとつ。エドヴァルド・ムンク、エリザベス・ペイトン、トーベ・ヤンソンという、それぞれ違う感性を持つ画家たちの作品が、プリントとして衣服に落とし込まれ異彩を放っていた。

ヨーロッパの街並みをモチーフにしたアンティーク調のジャカード生地は、コートやワークウェアとして再構築され、どこか懐かしさを漂わせる。さらに、田園風景を編み込んだニットが、牧歌的なムードを漂わせ、コレクション全体に穏やかな余韻を残した。


過去へのオマージュと現代性を絶妙なバランスで融合させ、伝統的なアイテムに新たな命を吹き込む。ジュンヤ ワタナベの手腕が光るコレクションだ。




















































Photos : Courtesy of JUNYA WATANABE MAN
Text:B.P.B. Paris