tanakadaisuke(タナカ ダイスケ)の“ときめき”を集めたおもちゃ箱を広げるコレクション
Rakuten Fashion Week TOKYO 2024 A/W Collection Pick-up

2024.03.22

3月13日、田中大資さんがデザインを手がける「tanakadaisuke(タナカ ダイスケ)」がRakuten Fashion Week TOKYOにて2024年秋冬コレクションを発表した。

会場に入って、最初のサプライズは床一面にちりばめられたカラフルなスパンコールやラインストーン。来場者はロマンティックなムードを楽しみ、ショーへの期待を高める。静かに暗転し、ショーの始まりを告げる音楽が鳴り響く。グロッケンや木琴、オルガンの音色が刻まれた後、聴こえてきたのは吉澤嘉代子さんの透き通る歌声。田中さんにとって、吉澤さんは「幼少期の感情や思い出を振り返る時の一番の理解者」だという。「それが今回のコレクションを構成するのに重要だった」と語る。

今季のテーマは「MEMORIES」。田中さんが幼少期に大切にしていたおもちゃ箱や、姉との人形遊びの記憶を呼び起こし、あの頃に感じていた“ときめき”や“憧れ”をこれまでの経験や今の視点から紡ぎ直したコレクションだ。床に散りばめられ、会場の中心で雨のように降り注いでいたのは、幼い頃に集めていたというスパンコール。モデルたちはその下をくぐりぬけ観客の前に現れる。

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キーカラーはあたたかなベビーピンクで、ファーストルックにはオールピンクで作ったベロアのドレスが登場。大胆な胸元のカッティングから見えるネックレスは魔法少女を思わせるハート型の鍵がモチーフ。また、スーツには柔らかな印象のウール素材を用いた。小さなビーズリボンの装飾と胸元にはウサギのイラスト刺繍を施し、ノスタルジックに仕上げている。

スタイリストの酒井タケルさんとのコラボレーションアイテムにも注目。“NO ROMANTIC”を合言葉に2024年1月26日に発表したアイテムがブラッシュアップされ、本コレクションでも登場した。レースで切り替えたプリーツのキャミソールワンピースは、キーカラーに合わせてピンクのグラデーションに。裾とポケットが吊るされたハーネスパンツにはレース刺繍のシャツと同素材のブーツを合わせ、さらにクラシックなレース傘を持つという、新旧入り混じるユニークなロマンティックスタイルを構築した。他にも学生服を彷彿させるセットアップや、レッグチェーンなどのアクセサリーも披露した。

「酒井タケルさんは今回のショーでもスタイリストとしてご協力いただきました。一緒に何かを作ると普段出しにくい自分の中の明るい面を自然と表に表現しやすくなります。今回のショーもすごく楽しく作り上げることができました」と田中さん。

おとぎ話から飛び出したようなドレスピースも印象的だ。王子様を思わせるナポレオンジャケット風の赤いジャケットと組み合わせられたフリルのティアードドレスは、ふわりふわりと揺れて、観客を異世界へと引き込んでいった。このルックは姉との人形遊びから着想を得たもので、様々な国の異なるキャラクターをジェンダーレスにクロスオーバーさせている。

デザイナーがおもちゃ箱に集めていたビーズやスパンコール、ラインストーンの細かいパーツ。それらをプリントしたテキスタイルは、リボンつきのキャミソールワンピースに落とし込まれた。このワンピースはリアルなパーツを縫い付けた白のオーガンジーとプリント生地とを重ね合わせて作られたもので、裾にはシルバーのモールをあしらい、ハッピーにまとめあげている。おもちゃ箱をイメージした煌めきは、スパンコールのスカートや、ヘアメイクなど様々な部分で表現され、コレクションに華を添えていた。

ブランドを語る上で欠かせないビジューや刺繍は随所に用いられた。特に、白のスパンコールで羽を描いた刺繍生地を大胆にサイドラインに施したデニムは、モデルが歩くたびに天使の羽のような動きを見せ、ひと際目を引いた。ほかにもネイルリングやハーネス、アームウォーマーやヘッドピースなどブランドの高い技術力が光るアクセサリー群も魅力的。中でも、フレームレスのギークなメガネは要注目アイテム。このキャッチーなリアルトレンドアイテムは、滴る雫のようなメガネチェーンや、羽のモチーフつきなど様々なデザインに展開された。

ラストルックは、トップ画像にあるピンクのシフォンドレス。軽やかなシースルー素材はラメで輝き、ティアードのフリルは、ふわりと空気をはらんで周囲を幻想的に彩る。そのドレスをまとった女性の片手には、オリジナルのブックカバーに包まれた本が一冊。その本には、夢を見続けるお姫様の物語が描かれているのかもしれない。大好きな物語の主人公になれると信じた“憧れ”の気持ち。陽光に照らされたヴェールのカーテンの裏で楽しむおもちゃ遊びのワクワク。そんな幼い頃の思い出を持てる技術を尽くして美しく飾り、観客に共有したコレクションとなった。

あの頃目を輝かせて集めていたものにもう一度出会う。

子どもの頃おもちゃ箱に集めていたものは、

お人形やキラキラしたビーズ、スパンコール。細かいパーツたち。

好きなものだけがごちゃっと入っているが、


そのどれもが僕の中では繋がって存在していること。


僕の全てが詰まっていました。


デザイナー田中大資

tanakadaisuke
WEB : https://tanakadaisuke.jp/
Instagram : @tanakadaisuke_official