KAMIYA(カミヤ)がエンターテイメントに富んだショーで魅せた、現代の若い男性に向けたマニッシュなストリートウェア。Rakuten Fashion Week Tokyo 2025 S/S レポート

「KAMIYA(カミヤ)」が2025年春夏コレクションを発表。会場は秋葉原のキャンプ練習場「campass」。高架下に位置し電車の走行音が響くこの会場が選ばれたのは、非現実的なショー空間に日常の環境音を取り入れることでカミヤを象徴するストリートウェアを感じてほしいという思いからだ。BGMのジャズが流れるコージィな雰囲気でランウェーショーがスタートした。

’25年春夏のコレクションテーマは「Mannish Boy(男らしい少年)」。カミヤを手がけるデザイナーの神谷康司は、地方のセレクトショップに出向く際、ブランドのファンである若者のヘアスタイリングから恋愛まで、多岐にわたる相談にのるという。

今季は、自身の少年期や好きだったものを振り返った制作過程で、神谷さんの最愛のアーティストであるジミ・ヘンドリックスもカバーしたマディ・ウォーターズの楽曲「Mannish Boy」と、その曲中で繰り返し登場する「I’m a man」という歌詞が着想源となった。格好つけたい!という思いをもつ若い世代の少年に向けて、社会に迎合せず自身を貫くということをカミヤ流に提示した。

迷える若者に向けて直球のかっこよさを提示するコレクションテーマに合わせ、モデルはストリートキャスティングを行った。半分以上がニューフェイスで、最年少は15歳。

コレクションでは、ブランドの軸となるヴィンテージアイテムの追求を続けながらも新たな加工に挑戦。レザーのライダーズジャケットと、ヒッピー時代のデニムを高解像度でスキャニングしたトロンプ・ルイユのTシャツやパンツは今季の目玉アイテム。デニムシャツやパンツの裾、襟の部分にワイヤーを入れ、その歪みやうねりを形にしたシリーズは、少年の未熟さを表現しているという。

カミヤを象徴するデニムには、得意のダメージ加工のほか、グリーンのオーバーダイ加工も施された。穴のあいたニットや、ブリーチ加工が印象的なスウェットやパーカー、チェック、ボーダー、ストライプ、迷彩などバリエーション豊富な柄のアイテムも繰り返し登場。

光沢素材で、歩くたびに軽やかになびくテーラードジャケットにあしらわれた刺繍は、アゲハ蝶を松と藤の花で彩った、デザイナーの家に伝わる家紋がモチーフ。先祖代々の存在を背中で感じ、「男たるものの責任」を自ら鼓舞して社会で生きていくという性(さが)が込められており、ある種マッチョな思想に基づいて生まれたそのモチーフを、華やかなボタニカル柄にアレンジしたテキスタイルのシャツやパンツも印象的だった。

フィナーレでは、デコトラを用いたサプライズ演出が。ランウェーショーでは自分の作る服よりも非現実感を出すことで、ものとのコントラストを際立たせたいと語る神谷さん。リアルに日常で着たいと思わせるルックの数々と、ショーでこそ味わうことのできる特別感を見事に融合させ、見る人を楽しませた。

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