1月21日から6日間の日程で、2025-’26年秋冬パリ・メンズファッションウィークが開催され、約70ブランドが公式スケジュールで新作を発表。今シーズンの必見のショーや話題のトピックスをご紹介します。
イッセイ ミヤケのメンズブランド、アイム メン(IM MEN)がパリ・ファッションウィークに初参加。これまで発表していたオム プリッセ イッセイ ミヤケ(HOMME PLISSE ISSEY MIYAKE)と交代するかたちでの新登場です。
2021年にスタートしたアイム メンは、三宅一生の“一枚の布”という思想を男性の身体という視点から捉え、ものづくりの可能性を追求するブランド。デザインとエンジニアリングの双方に精通したデザインチームが、その融合により新たなクリエイティブワークを実現していくことをコンセプトとしています。
今回のテーマは「FLY WITH IM MEN(アイム メンと共に飛ぼう)」。コレクションは空に舞うように軽やかで、最初に登場したのは「FRY」とネーミングされたシリーズ。ここで紹介されるコートやジャケットは、生地の魅力を最大限に引き出すために、“耳”(織物の端の部分)を残したまま、一枚の布で仕立てられています。上下を反転させたり、ボタンを留める位置を変えたりすることで、着る人が様々なフィルムを楽しめる熟考されたデザインです。
「HERON」は、東レ株式会社が開発した100%植物由来の人工皮革スエードを使ったシリーズ。衣服への使用は今回が初となるそうです。この素材はカット面がほつれない特性があり、グラデーション状にドリルで穴を開けた透かし模様によって、視覚的オリジナリティと軽さが実現しました。
「KASURI」は文字どおり“絣染め”のテクニックを使ったシリーズです。糸を部分的に染め分け、濃淡模様を作る伝統技法を現代的に表現したもので、太さの異なる3種の綿糸で織られています。この生地のアイテムはコートとポンチョの2通りで着用が可能。脇から裾にかけて装着されたファスナーを閉じることで、緩やかな螺旋を描きながら袖と見頃が形成されます。
好評を博したショーは、吉岡徳仁さんによるインスタレーションの中で行われました。会場に設置された機械で動く四角いパネルは、イッセイ ミヤケのテクノロジーと“一枚の布”を表したもの。フィナーレには、モデルたちが掲げる四角い布とパネルが同じ動きをするパフォーマンスがあり、観客を惹きつけました。
ショーのフィナーレより。
ファッションウィーク中には、期間限定の特別展「FLY WITH IM MEN」も開催。特殊なテキスタイルや衣服の構造を丁寧に解説する内容で、細部にまでこだわったものづくりへの姿勢がひしひしと感じられました。
特別展「FLY WITH IM MEN」より。©B.P.B. Paris
デザインチームを率いる3人。左から、板倉裕樹さん(デザインとエンジニアリング)、河原 遷さん(デザインとエンジニアリング)、小林信隆さん(テキスタイルとエンジニアリング)。©B.P.B. Paris
Photos : Frédérique Dumoulin-Bonnet(Runway looks & Details), Olivier Baco(Show images) / Courtesy of ISSEY MIYAKE
Text:B.P.B. Paris