3月3日から9日間の日程で、2025-’26年秋冬パリ・ファッションウィークが開催され、およそ110のブランドが公式スケジュールで新作を発表。今シーズンの必見ブランドやトピックスをご紹介します。

© LAURA SCIACOVELLI
マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)によるディオール(DIOR)の着想源は、ヴァージニア・ウルフの小説『オーランドー』。性別を超越して、16世紀から300年以上を生きた美少年が主人公の物語である。

コレクションには、服装史をたどる様々な時代の要素が取り入れられている。特に、ジャンフランコ・フェレ時代のディオールのシルエットからヒントを得ていて、ジェンダーレスなホワイトシャツがキーアイテムの一つとなった。これらのシャツにプラスされた着脱可能なフリルは、メタモルフォーゼ(変容)を象徴している。

ジョン・ガリアーノによってデザインされた「ジャドール ディオール」のTシャツも復刻。マスキュリンなジャケットやコートには、フェミニンなビスチェが装着され、コントラストの効いた斬新なシルエットを生み出した。


全体的にノーブルなスタイルが際立ち、エリザベス1世風のひだ襟のアクセサリーや黒い斑点のファーなど、王侯貴族を想起させるエレメントが印象的。毛芯を縫い付けるハ刺しが美しい装飾となり、華麗なレースのアップリケ、キャビアビーズの繊細な刺繍など、オートクチュール・メゾンならではのアトリエの技巧が光っている。




















































































Photos ©︎Dior
Courtesy of Dior
Text:B.P.B. Paris