3月3日から9日間の日程で、2025-’26年秋冬パリ・ファッションウィークが開催され、およそ110のブランドが公式スケジュールで新作を発表。今シーズンの必見ブランドやトピックスをご紹介します。

Photo : B.P.B. Paris
圧倒的にパワフルだったコム デ ギャルソン(COMME DES GARÇONS)のテーマは「Smaller is stronger」。この言葉の意味について、デザイナーの川久保 怜は次のように語っている。
「グローバルなカルチャー、システムといった大きな波に飲み込まれて何も感じなくなる現代。その中にあって、どんなに小さくても新しいことを見つけてやるべきだという思いで服を作った。小さくても光っているものがあり、小さなことにも強い価値があり、力になりうると思う」


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登場したルックはいずれもボリューミー。クッション性のある素材を用いたドレスは、胸元から裾に向かって波を描くシルエットを生み出していた。多面体のパーツを繋げた幾何学的なドレスもあり、これらのデフォルメされた服はキュビズムの彫刻を思わせた。造形のユニークさが際立つ一方で、ピンストライプ、タータンチェック、グレンチェックなど、クラシックなパターンの生地が使われている。
「今まで作ってきた服の中で、自分の芯の部分、本当に作りたい強いものを作ろうと取り組んだ。その気持ちをいつもの素材を使用し、あまり大袈裟にせずに表現した」


Photo : B.P.B. Paris
中盤には、同型のピースを重ねたトロンプルイユの遊びも見られ、フリルやコサージュのディテールがロマンティックなムードを添えた。


ヘッドピースはフランス在住の帽子デザイナー、日爪ノブキさんとのコラボレーション。2頭のクラウンや顔が隠れるほどのフリンジで覆われたものもあり、印象深かった。Photo : B.P.B. Paris
デザイナーの強い意志が込められたコレクションは、個々のアイデンティティや創造性を尊重するメッセージとも感じられ、見る者に勇気を与えてくれるように思えた。





















Photos : Comme des Garçons
Text:B.P.B. Paris