6月21日から6日間の日程で開催された2023年春夏パリ・メンズ・ファッションウィーク。フィジカルイベントが増えた今シーズンは、40ブランドがパリを舞台にショーを実施。待望のリターン組、初ショーを行った新星デザイナー、パワフルなラグジュアリーブランドが一堂に会し、尽きない創造性を披露した刺激的な一週間だった。
KENZO
ケンゾーは日本のDCブランドブームを想起
NIGOによるケンゾーの2回目のショー。会場となったのは閑静な住宅街にあるリセ(高校)。広大なホールの天井には、今シーズンのアイコンとなったカレッジペナントが色とりどりに飾られ、賑やかな雰囲気の中で観客を迎えた。
発表されたのは、先シーズンのコレクションを発展させた日常生活のためのワードローブ。前回同様、ブランド創業者である髙田賢三へのリスペクトが感じられるシルエットがそろう。
フローラル、ストライプ、チェックなど、バリエーション豊かに取り入れられたモチーフの多くは、ブランドのアーカイブから抽出。花と動物のハイブリットパターン、アニマル・カモフラージュ、KENZOラベルのワッペンなど、楽しい装飾にあふれてた。
また、NIGOがケンゾーを知った1980年代の日本のDCブランドブームからも多くのインスピレーションを得ていて、同時代に流行したポップなキャラクターブランドの世界観とプレッピーなカレッジスタイルもプラス。一方で1930年代と’40年代のアメリカのワーカーやミリタリーのユニフォームからヒントを得たルックも。
異色の文化を掛け合わせたスタイルとパリの空気が融合するケンゾーならではのクリエイションである。
Text:B.P.B. Paris