2020-’21年秋冬デビューのブランド「COGNOMEN(コグノーメン)」は、日本とイギリスにルーツを持つ、大江マイケル仁がデザイナーを務めている。
かねてよりファッションショーを行うことを視野に入れ、また公言もしてきたマイケル。その言葉通り、去る2023年2月13日、ブランド設立3年目・7シーズン目となる2023-’24年秋冬に、初めてのランウェイショーを東京で行った。
会場は、折しも真冬の雨が降る秩父宮ラグビー場。しかしショーを作り上げる舞台裏は静かな熱気に包まれ、またその熱が伝播したかのように会場には多くの人々が詰めかけた。
『装苑ONLINE』では、デザイナーの念願であり、たった一度きりのファーストショーの舞台裏に流れていた時間をドキュメントする。
また、ショー直後のデザイナーに行ったインタビューもあわせてお届け。
photographs : Norifumi Fukuda(Back Stage,B.P.B.),Emi Hoshino(show,B.P.B.)
この記事の内容
p1 ショーの舞台裏に密着
p2 デザイナー大江マイケル仁インタビュー
COGNOMEN (コグノーメン)
デザイナーは、日本人の父とイギリス人の母のもと、東京で育った大江マイケル仁(Gene Michael Oe)。文化服装学院ファッション高度専門士科在学中、教員の紹介によって国内のデザイナーズブランドでインターンを開始。卒業後も同ブランドで6年間の経験を積む。2019年8月に独立し、コグノーメンをスタート。ブランド名は、親しい関係性の中で生まれる「愛称」を意味し、ニックネームをつけたくなるほど親しい存在となる服を目指している。素材や制作方法にさりげなくギミックを効かせた服作りが持ち味で、ニットはデビューシーズンからのメインアイテム。
17:30 ドレスリハーサル
ショー会場は秩父宮ラグビー場。西スタンドの通路をランウェイに、その下のスペースが着替えなどを行うバックステージとなる作り。照明やサウンドチェックが行われた後、いよいよ実際に服を着たモデルがランウェイを歩くドレスリハーサルへ。
ヘア&メイクを終えたモデルが一人ひとりバックステージにやってきては、着替えが始まっていく。
ショーディレクターの金子繁孝(左、SHIGE KANEKO Co.,Ltd.)と、デザイナーのマイケル。衣装香盤を見ながら、演出の確認を行う。
着替えたモデルは合間に撮影も。撮影を担当しているのは西川元基。
控室からステージへ向かうモデル達。
ソックスのレイヤードは、今回のスタイリングのポイントの一つ。Shohei Kashima率いるスタイリストチームが丈や分量感を細かく調整する。
金子からモデル達へ、ウォーキングについて伝えられる。
ファーストルックの着せ込みをするスタイリストのShohei Kashima。
ドレスリハーサルがスタートすると、それまで穏やかだったマイケルのまなざしが、ぐっと強いものに。ともにブランドを支えるかけがえのない仲間と一緒に見守る。
リハーサルで気づいたことを確認し合う金子、マイケル、Shoheiの3名。フィナーレは場当たりで2度異なる歩き方を試し、3度目に決定した。
リハーサル終了。モデル達が脱いだ服はスタイリストチームがきれいに整理。同時に着せ方の再確認などを行う。
18:00 ヘア&メイク最終調整
リハーサルが終わり控室にモデル一同が戻ると、すかさず始まったのがヘア&メイクの最終調整。ヘアーのディレクションはMikio Aizawa、メイクアップのディレクションはKazuyuki Matsumuraが手がけた。モデルはリラックスした雰囲気なのが印象的。
デザイナーのマイケルがモデル達へのメッセージや、コレクションテーマを書き込んだドレスカバー(詳しくはp2のインタビューへ)が、まるで応援旗のようにはためく。
18:30 ドアオープン
冷たい雨が降りしきる屋外の会場。
そんな天候上の悪条件を感じさせないほどに、会場には続々とジャーナリストやバイヤー、プレス、そしてデザイナーと繋がりのある人々がやってくる。
そうした人々が待つ座席には、コグノーメンの門出を祝い、コレクションに期待を込めるポジティブな空気が漂う。
バックステージではマイケルとモデルが談笑する姿も。
19:13 ショースタート
無事にフィナーレまで終了。最後の挨拶を終えたマイケルがモデル達の拍手に迎えられ笑顔でバックステージに戻ると、ショーの成功を喜ぶ多くのスタッフ陣が、同じ晴れやかな表情で待っていた。
ショー終了後、ロッカールームに集まったモデル達。ここが記念撮影や、メディアによるデザイナー囲み取材の場所になった。
congratulations!!!
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