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映画『マイスモールランド』インタビュー。嵐 莉菜 × 奥平大兼
日本に暮らすクルド人少女の成長を描いた、映画の経験を糧にして。

何気ない一言で相手を傷つけていないか、気づくきっかけにもなると思います。──奥平大兼

──聡太は、サーリャから在留資格が喪失することや難民のことなど、難しい話題を打ち明けられても真正面から受け止めることができる人。人との距離感の取り方がとても上手な理由の一つに、独特なテンポが影響していると感じました。それは奥平さんご自身に通ずる部分ですか?

奥平:僕は嵐さんと違って、役に憑依する感覚がわからないんです。それは、初めて出演した映画『MOTHER マザー』で学んだお芝居が、作り込んでいくタイプだったことも大きくて。そのやり方では監督の要望とシーンのイメージを聞いた上で、自分を出しながらお芝居をするんです。なので、良くも悪くも「自分」が出てしまうんです。

──役という設定の中で、自分の意思を介在させるということですか?

奥平:そうですね。最低限の設定を頭に入れつつ、役と同じ状況になった時に自分ならどういう思考を持つか。どういう対応をして、どう話すか。役に自分をちょっと入れる感じです。最初の現場を経て今の自分がいるので、しばらくはこのスタイルで挑戦したいと思っています。

映画『マイスモールランド』より

──「難民問題」という難しい題材。同世代の人に映画を通じて知ってもらいたいこと、見てもらいたい部分を教えていただけますか?

奥平:難民問題についてのニュースを見ることは何度かあったので、問題について知っていても、それが「日本にもある」ということは想像できていませんでした。なので、実態を知って驚きました。

──埼玉県に2000人ほどのクルド人のコミュニティが存在するものの、その人達が難民認定され、安定した生活が保障された例はこれまでないに等しい、という映画の資料を拝読して驚きました。また、「出入国管理及び難民認定法(入管法)」を巡る状況もニュースで取り上げられていますし。

奥平:見る機会が増えましたよね。僕自身はきっと、この映画をきっかけに関心が向いているんだと思います。同世代だと、今までの僕と同じように日本の難民問題についてあまり知らない人がいると思うんですね。なので、映画を見て、問題を身近に感じてもらえたら嬉しいですね。
 個人でできることは限られているし、何をしたらいいのか聞かれても明確には答えられないけれど、「知ること」が大事なんじゃないかと。知識を持つことで、もし身近にサーリャのような子がいたら考え方や対応が変わるはず。何気ない一言で相手を傷つけていないか、気づくきっかけにもなると思います。

:何気ない一言で傷つく、って度々あると思うんです。映画で、サーリャがバイト先でおばあさんから「日本語お上手ね」って声をかけられるシーン。私も言われた経験があるんですが、相手に悪気がないことはわかっていても傷つくこともありました。私たちも、逐一「傷ついた」と言わないので、傷つく可能性がある言葉だと認識されていない。知ることで、相手への想像が膨らむんじゃないかと思います。

映画『マイスモールランド』より

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