1883年に出版された児童文学『ピノッキオの冒険』や、アニメーションで親しまれてきたピノッキオの物語。丸太棒が子供に変身し、「嘘をつくと鼻が伸びる」エピソードは有名だが、その実像はこれまであまり知られることがなかった。本作『ほんとうのピノッキオ』は原作に回帰して作られたファンタジー映画。愛らしいピノッキオを行く先々でトラブルを巻き起こす悪童として描き、寓話的な物語の背景に人生の不条理や社会風刺、貧困の問題を滲ませた。
深みのある物語と同じくらい魅力的なのは、細部まで作り込まれたビジュアルの美しさと独創性。ピノッキオや、旅の途上で登場するクリーチャーたちはVFXに頼らず、役者に特殊メイクを施すことで造形している。衣装は、パペットたちの愛らしい衣装からたっぷりボリュームのある歴史的なドレスまで登場。
アカデミー賞の衣装デザイン賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞にもノミネートされた本作。ぜひ劇場の大きなスクリーンで楽しんで!
特殊メイクを手がけたマーク・クーリエさんがコメントする制作の裏側
「『ほんとうのピノッキオ』では、全体の世界観を大切にしながら特殊メイクを作りました。ピノッキオの特殊メイクは、いたずらっ子というキャラクター性が引き立つように工夫しています。表情豊かに見えるデザインを模索したので、そこに注目していただけたらうれしいですね。衣装とのマッチングは、コンセプトアートとして描かれたデザイン画を見ながら考えました。特殊メイクの制作と衣装の制作は、それぞれ別の場所で進行していたので、私が衣装の実物を見たのは撮影現場!しかしコンセプトアートの段階でイメージがしっかり統一されていたので、現場で何かを調整する必要はありませんでした。スタッフ達が、しっかり世界観を共有できている作品だったのです」
(マーク・クーリエのインタビューは11月27日発売『装苑』1月号に掲載)
マーク・クーリエ Mark Coulier ● 『ほんとうのピノッキオ』で、米アカデミー賞メイクアップ&ヘアスタイリング賞にノミネート。それ以前には『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』(2011年)で同メイクアップ賞、『グランド・ブダペスト・ホテル』(’13年)で同メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞している。そのほかにも多くの話題作に携わっており、主な作品に『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』(’10年)、『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』(’13年)、『007 スペクター』(’15年)、『ボヘミアン・ラプソディ』『サスペリア』(ともに’18年)『イエスタデイ』(’19年)、『ワンダーウーマン 1984』(’20年)などがある。
『ほんとうのピノッキオ』
11月5日(金)より全国公開中。マッテオ・ガローネ監督・脚本、ロベルト・ベニーニ、フェデリコ・エラピ、マリーヌ・ヴァクトほか出演。
WEB:https://happinet-phantom.com/pinocchio/index.html
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