公の場に一切登場することなく20年のデザイナー活動に終止符を打ち、ファッション業界から去っていった稀代のデザイナー、マルタン・マルジェラ。
彼の生み出してきたアヴァンギャルドなファッションと、そのミステリアスなブランド哲学から、それぞれが心の中に、それぞれのマルタン像を思い描いてきたことだろう。
現在、絶賛公開中の映画『マルジェラが語る“ マルタン・マルジェラ”』で、初めてその姿(とはいえ顔は出してはいない)を私たちの前に現し、その声で語るのは、マルタン自身のデザイナー人生とこれからのこと。
メゾン マルタン マルジェラのブランド誕生にまつわる秘話や、幼少期や学生時代の作品にファーストコレクションのポートフォリオなど、初めて目にする貴重なデザインに関する資料にも注目したい。
ミステリアスな存在ゆえに様々な憶測を呼び、時に偶像のように扱われ、本当の姿からかけ離れた存在がひとり歩きしてしまった伝説的なデザイナー、マルタン・マルジェラ。
だが、彼が真摯にものづくりへの思いを募らせ、今後のファッションにも多大な影響を与え続けるであろう革新的なデザインの数々をピュアに生み出してきた過程を、この映画からは感じとることができるはず。
ファッションデザイナーを志す人はもちろん、ものづくりで生きていくことを選択した、すべてのクリエイター必見のドキュメンタリーだ。
『装苑』11月号(9月28日発売)では、「マルタン・マルジェラがファッションに残したもの」と題し、映画から読み解くマルタン・マルジェラ考や、マルタンが手がけたアーカイブの数々を紹介。そして、彼と地続きのファッションの歴史を歩む後進のデザイナー、MIKIOSAKABEの坂部三樹郎さん、yushokobayashiの小林裕翔さん、kudosの工藤 司さんの3名に、マルタンが何を残し、何を受け継いだのか、自身のクリエイションと交差させ語ってもらった。
ぜひ、映画『マルジェラが語る“ マルタン・マルジェラ”』を見て、『装苑』11月号もチェックしてみて。
『マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”』
今まで一切表に出ることのなかったデザイナー、マルタン・マルジェラの信頼を獲得し、自らの
肉声で、これまでの人生とブランドヒストリーを収めることに成功した監督、ライナー・ホルツ
ェマーが手がけた珠玉のドキュメンタリー。誰も見たことのなかった、マルタン・マルジェラの
クリエイティビティが今、明らかになる。
2021年9月17日より、渋谷ホワイトシネクイント、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネ
マカリテ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開。アップリンク配給。
©2019 Reiner Holzemer Film ‒ RTBF ‒ Aminata Productions
公式サイト:https://www.uplink.co.jp/margiela/