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第35回高松宮殿下記念世界文化賞の受賞者発表
建築家の坂茂「富裕層のためだけに作ることへの疑問」

9月9日、第35回高松宮殿下記念世界文化賞の受賞者が、東京、パリ、ロンドン、ローマ、ベルリン、ニューヨークの世界6都市で同時に発表。各部門で卓越した功績を認められた5名が表彰された。

建築部門では、日本を代表する建築家の坂茂(Shigeru Ban)が受賞。坂は「富裕層のためだけに作ることへ疑問を感じた」と語り、それが人道支援への取り組みに繋がったという。ルワンダ難民キャンプではシェルターを紙管で造り、阪神、淡路大震災では仮設住宅を建設。これを機に、ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク(VAN)を立ち上げ、世界的な難民、災害者の救済活動を行っている。同時にフランスの「ポンピドー・センター メス」、「ラ・セーヌ・ミュージカル」、スイスの「スウォチ・オメガ本社」などの革新的な建築を相次いで設計。平時と非常時の両方で建築家としての使命を果たしていることが評価された。

ほか4名の受賞者は、以下のとおり。
美術部門: フランスを代表するコンセプチュアル・アーティスト、ソフィ・カル(Sophie Calle)。他者へのインタビューを通して詩的な要素を含む話を探求し、写真と文字を組み合わせた作品を数多く発表。

音楽部門: ポルトガルのピアニスト、マリア・ジョアン・ピレシュ( Maria João Pires)。教育活動や社会活動にも熱心に取り組み、演奏活動の合間に世界各地で若手ピアニストを指導。祖国に「ベルガイシュ芸術センター」を設立し、子供たちのための合唱団やプロ・アマを問わずアーティストのためのワークショップを開催。

演劇・映像部門: 台湾の映画監督、アン・リー( Ang Lee)。米国を中心に活動し、洋の東西を問わず、時代の奔流と向き合う人間を描く芸術性と、多くの観客を魅了する娯楽性を両立させた作品を手がける。代表作は「グリーン・ディニー」、「ブロークバック・マウンテン」、「ライフ・オフ・パイ/トラと漂流した227日」など。

彫刻部門: コロンビアの彫刻家、ドリス・サルセド(Doris Salcedo)。暴力、喪失、記憶、痛みをテーマとし、椅子などの木製家具、衣類、花びらといった身近な素材を再利用、再構築して創作。半世紀以上続いたコロンビア内戦が創作活動の原点となり、全作品が暴力や差別の被害者をモチーフとした芸術が持つ抵抗する力を表現し続けている。

高松宮殿下記念世界文化賞:オフィシャルサイト
Text:濱 千恵子(Chieko HAMA)

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