©︎ Makoto Egashira 2023
花柄やバラ模様の毛布を用いた作品を中心に制作をしている作家 江頭誠さんの個展「四角い花園」が6月16日から7月15日までhpgrp GALLERY TOKYOにて開催される。個展では第18回岡本太郎現代芸術賞で特別賞を受賞した作品「神宮寺宮型八棟造」を中心に新作を発表。
花柄の毛布は、贈答品として毛布の需要が多かった時代に、高級なイメージとしてロココ調のバラ模様があしらわれるようになったことから、日本の家庭に普及したとされている。江頭さんはロココ調のバラ模様と毛布という組み合わせから、戦後の日本において「豊かさ」を軸として奇妙に発展した和洋折衷に興味を抱くようになり、日本の家にヨーロッパ的な要素を取り込んだ「洋間」や、アメリカの高級車に日本の伝統的な建築を乗せた「霊柩車」など、歴史を反映する日本独自の価値観を批評的に取り入れた作品を発表してきた。個展初日の6月16日(金)には、作家在廊の上レセプション(18:00-20:00、入退場自由)を行う。
江頭 誠さんコメント
こんにちは!作家の江頭誠です。
私が霊柩車をモチーフとした作品、「神宮寺宮型八棟造」を制作していた当時、日本独自の和と洋がMIXされた文化について考えていました。
花柄の毛布は日本で独自に発展していったものですが、花柄にロココ調のスタイルが多くみられます。霊柩車も、上が宮型の和、下がリンカーンのコンチネンタルの洋と、二つの様式が組み合わせられています。それから、日本のMIXカルチャーに着目した作品を作り続けていました。
だけど、そのような作品を作り続けていくにつれ、作品の中に自分の存在があまり感じられないことに気がつきました。自分の言葉が薄れ、なぜこれを作っているのか?と疑問を感じ始めたんです。
過去に作った霊柩車の作品にはわかりやすいきっちりとしたテキストを添え、その後も扱うモチーフは形がはっきりしたものを選ぶこと、作品には隙を見せないことを意識していたのですが、ある日、それを続けることに苦痛を感じはじめ、そこからは徐々に話言葉のように自分の言葉でテキストを作り、形もあいまいで、作品は脆く、隙だらけだけど、遊びと余白を残すように変化していった気がします。
そして、一番は「自分が楽しんでいるかどうか?」というところを大事にするようになりました。
本展で霊柩車の作品を今の自分のスタイルで展示するにあたり、過去を否定したいわけではなく、過去の自分と向き合いながら、今の自分が楽しんで、新たな遊びが生まれたらなと思ってます。
江頭誠の個展「四角い花園」
会期:2023年6月16日(金)〜7月15日(土)
場所:hpgrp GALLERY TOKYO
東京都港区南青山5-7-17 小原流会館B1F
時間:12:00〜19:00
定休日:日曜・月曜・火曜