2023-’24年秋冬パリ・メンズコレクション/
ターク(TAAKK)

2023.01.24

1月17日から6日間の日程で2023-’24年秋冬パリ・メンズコレクションが開催され、78ブランドが公式スケジュールで新作を発表。今シーズンの必見ブランドやトピックスをご紹介します。

TAAKK
タークは印象派絵画の力強いタッチを込めて

パリで2回目のフィジカルショーを行ったターク。デザイナーの森川拓野がコレクションに込めたのは、印象派の絵画が持つ力強さだった。

今シーズンの森川は「強い服を作りたい」という思いから、自分自身に向き合い、自分らしい服を作ることを追求したという。特に刺激を得たのはゴッホの絵画。絵の具の盛り上がり、絵から伝わる感情、作り手の魂そのものである。

「印象派の画家が持つ表面的でない強さに惹かれました。彼らの力強い絵画のタッチを表現できないかと僕らチームで油絵を描いたのが、このシーズンの始まりでしたね。それがファブリックの強さになればと思いましたし、人が見たときに圧倒されるものを作りたい、というのがあって」

ブランドの独自性は、デザインにおけるユニークな視点と生地のイノベーションへのこだわりにある。そこに加えられた筆のタッチは、まさに印象派の絵画を想像させるもので、色を塗り重ねたモチーフや勢いのあるストロークがコレクションに強烈なインパクトをもたらした。

クラシカルなチェックのウールからレザーへと変化するブレザーやコート、ブレザーとミリタリージャケットがシームレスに結合したアイテムなど、特殊なテクニックで作られた“二面性”もこのブランドならではであった。

ランウェイショーの後にはモデルたちが一列に並び、自由に見てまわれるという演出がとられ、興味津々に生地に見入る観者も。絵画鑑賞にも似た衝動と感動を与えたコレクションである。

「ブランドの強みを伝えることをきちんとやらなければ、というのが根本にあります。だから服を近くで見てもらいたい」と森川さん。

Text:B.P.B. Paris