2025-’26年秋冬プルミエール・ヴィジョン・パリより。
世界最大級の規模を誇るファッション素材の見本市、プルミエール・ヴィジョン・パリ(Première Vision Paris)。生地メーカーをはじめ、繊維、レザー、服飾資材などの企業が出展する国際見本市だが、ここで発信されるトレンドは服飾業界全体に影響を与えるといわれている。
プルミエール・ヴィジョン・パリは、年2回、シャルル・ド・ゴール空港近くのパリ・ノール ヴィルパント見本市会場で開催。
7月2日から3日間の日程で開催された2025-’26年秋冬シーズンでは、パリ・オリンピックを目前に控え、参加者の減少が危惧されるなか、40以上の国から930社が出展。およそ115か国から約8,000社が来場した。
会場の様子。各ブースがパネルで仕切られ、迷路のようになっている。
気になるトレンドの大テーマとなったのは「Extreme(極端、極限、最先端)」。創造的なプロセス、技術、ノウハウを通じて、卓越性と非凡さを讃えるシーズンとなるそうで、コントラストの強調と「Extremes」の探求の促進を予測している。
来場者が必ず立ち寄るトレンドフォーラム。トレンドカラーとテーマが大きく掲げられている。
また、3つのキーワードとして挙げられたのは「MINIMALIST EXCELLENCE(ミニマリストの卓越性)」「INCLUSIVE EXTRAVAGANCE(包括的な贅沢)」「SENSUAL EXPRESSIVITY(官能的な表現)」。高品質で長持ちし、包括的であることを重視し、異なる意見やスタイルを受け入れ、環境にも配慮した持続可能な方法で創造性を発揮することを目指すとしている。
一方、カラーパレットは、洗練された控えめな色のバリエーションで構築。グレイッシュトーンのニュアンスカラーが目立ち、ホワイトに近いライトなものから黒っぽいダークなものまでが揃う。
トレンドフォーラムでは、テーマごとに製品サンプルを陳列。高品質かつオリジナリティに富んだ素材が目立った。
また、今シーズンよりプルミエール・ヴィジョン・パリは「トラノイ」「ファッション・ソース」を運営するGLイベンツ・エキシビションズ社のモード部門の指揮下で開催。景気的に厳しい市場環境のなか、活気を取り戻すべく新たな取り組みを行うプルミエール・ブィジョンCEOのフロランス・ルッソン氏は「業界の変革を成功へと導くために、関係者皆さまとの協力関係と相互の意見交換、そして試行錯誤が不可欠だと強く感じています」とコメント。
ヨーロッパ亜麻&麻連盟(The Alliance for European Flax-Linen & Hemp)のブース。 西ヨーロッパは、亜麻繊維の世界有数の生産地。なんと、 フランス、ベルギー、オランダが生産量の4分の3を占めているのだそう。
「その証拠に、今回、皆さまの声を頼りに新しい試みとして始めたマッチメイキングプログラムでは、230人のトップバイヤーと出展社の間で1,500件のマッチングに成功しました。これは昨年2月の3倍に相当します。ただし、このシステムは導入したばかりですので、今後数ヶ月間は経過を見ながら方針を調整していきたいと考えています」
ファッション業界の発展と革新を支えてきたプルミエール・ヴィジョン・パリ。今後も業界全体のプロモーターとして、重要な役割を果たしてくれることに期待したい。
Photographs:濱 千恵子 Chieko Hama
Text:B.P.B. Paris