
文化服装学院主催「高校生ファッションデザイン画コンテスト2026」の審査会が、9月15日に行われました。
本コンテストは、日本国内の高等学校、高等専門学校、高等専修学校に在籍する生徒を対象としたファッションデザイン画のコンテストです。“憧れのあの人に着せたい服”というテーマのもと、服作りの原点であるデザイン画でアイデアを競い合います。
5回目を迎えた今回は、全国から過去最多となる951名・計1,085作品の応募が集まりました。審査員には青木規子さん(繊研新聞社記者)、木村晶彦さん(LOKITHO デザイナー)、加藤翔平さん(HEIHEI デザイナー)、二宮ちえさん(スタイリスト)、相原幸子(文化服装学院学院長)、玉利亜紀子(『装苑』編集長)の6名を迎え、厳正なる審査のもと各賞の受賞者が決定しました。
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審査員 左から二宮ちえさん、玉利亜紀子、青木規子さん、加藤翔平さん、相原幸子学院長、木村晶彦さん





審査風景
今年の傾向として、単にデザイン画として優れているだけでなく、全体の雰囲気や世界観、実際に服へ落とし込んだ際のイメージまで表現された、フレッシュな感性が光る作品が多く見られました。
そうした中、見事デザイン画大賞に選ばれたのは、小林小夏さん(佐久長聖高等学校1年)の作品です。また、優秀賞には青木菜々子さん(保谷高等学校1年)と小西利奈さん(神奈川工業高等学校2年)が選ばれたほか、審査員賞(5作品)と佳作(20作品)がそれぞれ選出されました。
また、学校単位で応募が可能な優秀団体賞は、23作品を応募した兵庫工業高等学校と、45作品を応募した宮崎日本大学高等学校が受賞しました。
なお、受賞作品は、11月1日(日)~3日(火)に開催される文化服装学院の文化祭にて展示されます。展示会場では、来場者の投票によって「来場者賞」を選出。全国の高校生によるファッションデザイン画の数々をご覧いただけると同時に、審査員としてもご参加いただけます。
文化服装学院 文化祭イベントページ
https://www.bunka-fc.ac.jp/event/culture-festival/

小林小夏さん
長野県・佐久長聖高等学校1年
憧れの人、この服を着せたい人:坂本龍一
作品説明:ふと見た記事で、坂本龍一さんの「ピアノを自然に還す実験」というものを目にして、私は、この世の中でこんなに素敵で繊細なものがあるのだろうか、と心から感じました。そんな坂本龍一さんの「A Flower Is Not A Flower」という音楽に身をまかせてこのデザイン画を描きました。 自然でいっぱいの、私の大好きな人です。
選評
このデザイン画には強く惹きつけられるものがあり、プレゼンテーション能力の高さも感じられました。あまりカラフルな印象がない坂本龍一さんにあえて鮮やかな服を着せるという、その「心地よい違和感」が、視線を奪う大きな理由の一つでしょう。アシンメトリーなデザインや、トップスとボトムスの絶妙なアンバランスさも興味深い違和感へとつながっています。「誰に着せたいか」が明確に伝わってくる、作者の強い意志を感じる作品です。

青木菜々子さん
東京都立保谷高等学校1年
憧れの人、この服を着せたい人:いつかの自分
作品説明:人生を長く生きれば生きるほど、様々な「トゲ」に出会い、そのたびに様々な感情を知ると思います。しかし、そんな人生のトゲもふきとばすくらい前向きな自分で生きてほしいなと思い、この服をデザインしました。黒いものが「トゲ」、カラフルな線で「感情」を表現しています。
選評
「トゲ」をテーマに掲げ、無数のトゲによって未来を連想させる圧巻のデザイン画です。痛々しささえ覚えるほどのディテールですが、着用者に設定されているのは“いつかの自分”。トゲを身に纏い、その時々を戦いながら前へ進んでいくというポジティブなコンセプトも高く評価されました。黒地に映えるカラフルな色彩構成も美しく、作品のもつ勢いと迫力が実に見事に表現されています。

小西利奈さん
神奈川県立神奈川工業高等学校2年
憧れの人、この服を着せたい人:ヘレナ・ボナム=カーター
作品説明:ピンクのバラの美しさと気品をイメージしています。胸元にバラをつけ、緑のリボンを葉が垂れているように配置しました。また、バラが葉や棘に囲まれているイメージから、肩と手首にボリュームのある緑のフリルを取り入れました。さらに、白いタイツと手袋でバラの持つ気品を表現しました。
選評
高いデッサン力や技術力を駆使した作品が多い中で、本作はイラストレーションならではの、ふわっとした独特の雰囲気が完成されています。この方の作品を何点も並べたら、唯一無二の素敵な世界観が広がるのではないでしょうか。実際に服になった時のチャーミングなイメージもリアルに伝わってきます。他の応募者とはひと味違った視点でファッションを捉えており、それもまた大きな魅力です。
青木規子

長島 茜さん
兵庫県立八鹿高等学校1年
憧れの人、この服を着せたい人:レオナルド・ダ・ヴィンチ
作品説明:彼のスフマート技法と、今回の私の型紙の上からクレヨンを塗る方法がたまたま重なりました。チョコチップのような水玉や明るい色の割りあては、彼の伝記を通して、彼のイマジネイティブなキャラクターを表現したいと思ったからです。
選評
大抵のデザイン画は装飾的でフェミニン、かつガーリーな雰囲気になりがちですが、その中でこの絵はフォルムが非常に潔く描かれていました。ストンとしたドレスをカラフルな色とドットだけで表現した簡潔さも素晴らしく、数あるデザイン画の中でもひと際目を引きます。さらに、描かれた顔や手がすべてシルエットになっている点も引きつけられたポイントです。服にしたときのイメージが湧きやすく、「実際に仕立てたら面白いだろうな」と思わせてくれる作品でした。
木村晶彦

永友花奈さん
宮崎県・宮崎日本大学高等学校2年
憧れの人、この服を着せたい人:お母さん
作品説明:普段お母さんが着ている服とは少しちがう、遊び心のあるデザインにしました。大きなフリルやドット、渦巻き模様など、見ていて楽しくなるような、かつ、個性がでるような要素をたくさんとりいれました。お母さんにはいつまでも自分らしく、楽しくおしゃれをしてほしいです。
選評
複雑なデザインでありながら、全体として見事なバランスが保たれています。多岐にわたるディテールを1枚のドレスへ美しく落とし込み、昇華させている点が非常に魅力的です。特に柄の配置やアシンメトリーなスリーブにはモダンな感性が光り、実際に仕立ててもこのままの美しいシルエットを再現できる完成度の高さを感じます。スカート部分にタフタを採用してみたり、柔らかい素材でパフスリーブを仕立てるなど、素材提案も含めて完成が非常に楽しみな一着です。
二宮ちえ

藤村柚那さん
神奈川県立七里ガ浜高等学校3年
憧れの人、この服を着せたい人:シャローム・ハーロウ
作品説明:1995年のヴェルサーチェのランウェイが一番大好きなので、黒のドレスをデザインしました。密集していて分かりづらいかもしれないですが、レースの部分には「タチアオイ」というお花を描いています。その花言葉は、「気高く威厳に満ちた美」です。
選評
この人物のバランスがとても好きです。ドレスの艶感やレースの細かいディテールなど素材感の表現が上手で、エレガントな雰囲気が素敵に描かれていると思います。陰影のつけ方も秀逸で、よく見るとレース部分は画材を使い分けていて本当に美しいですね。クラシックなドレスでありながら、今っぽい絵のタッチによってシリアスすぎずファッションライクに仕上がっているのが魅力的。レースのグローブの上からネイルを描いているのも斬新で良いですね。
加藤翔平

鈴木流奈さん
東京都・S高等学校/バンタンデザイン研究所 高等部3年
憧れの人、この服を着せたい人:昔の先輩
作品説明:小学校の頃の憧れの先輩に着てほしい服を描きました。当時の制服をベースに、暖かい雰囲気の人だったな、馬が好きだったなと記憶をかき集め、脳内で補完して美化して原型を変えてしまったであろう部分も含めて、こんな服を着ていてくれたらまた偶然会えるかもしれないのにと思いながらデザインしました。
選評
憧れの人である昔の先輩をモデルに、学生時代の制服をベースにしながら、優しい雰囲気を柔らかい色彩で表現されていますね。花柄などのロマンティックな柄に制服のモチーフを掛け合わせた表現もとてもかわいらしいです。馬が好きだった先輩の記憶からユニコーンのしっぽを服にあしらったり、三つ編みを装飾に取り入れたりする発想力が見事。妄想から膨らませたという憂いのあるポージングも、作品全体の世界観をより魅力的に引き立てています。
玉利亜紀子

秋葉結衣さん
兵庫県立兵庫工業高等学校3年
憧れの人、この服を着せたい人:ヤノベケンジ
作品説明:作品を通して希望やワクワクを届けるヤノベケンジさんに着てほしい服をデザインしました。特に、旅の守り神である「SHIP’S CAT」から着想を得て、宇宙を旅する服のイメージで描いています。機械的な世界観を表現しつつ、花を加えることで生命の温かさを表しました。ヤノベケンジさんの作品のように、見る人が楽しめる服にしたいと考えました。
選評
まずコンセプトが大変興味深かったです。ヤノベケンジさん(現代アーティスト)の作品「SHIP’S CAT」から着想を得ているというところ、とてもキャッチーだと思います。しかも、魅力はコンセプトだけにあらず、宇宙服のように見えるセットアップ、酸素管のように見える飾りベルト、宇宙服ヘルメットのように見えるアクセサリーなど、ひとつひとつのファッションへの落とし込み方にユーモアとセンスを感じました。未来にこんな宇宙服ができたらいいですね。

板坂奎良さん
宮崎県・宮崎日本大学高等学校

井上七緒さん
福島県・今泉服飾専門学校 高等課程

井上 凛さん
愛媛県立松山南高等学校砥部分校

太田彩愛さん
福岡県立香椎高等学校

小野藍子さん
福岡県・市立福岡女子高等学校

帯山唯華さん
福岡県・九州産業大学付属九州高等学校

熊倉萌弥さん
神奈川県・市立横須賀総合高等学校

小林留菜さん
愛知県・至学館高等学校

佐藤舞優さん
北海道・市立札幌平岸高等学校

竹内汐音さん
埼玉県立新座総合技術高等学校

徳元美鈴さん
神奈川県・白鵬女子高等学校

夏目龍明さん
東京都・城西大学附属城西高等学校

野崎ひまりさん
埼玉県立新座総合技術高等学校

濱田莉子さん
兵庫県立兵庫工業高等学校

原 椿希さん
岐阜県立大垣桜高等学校

藤澤果歩さん
兵庫県立兵庫工業高等学校

藤島風花さん
三重県立名張高等学校

堀井咲来さん
岡山県立岡山南高等学校

松尾望睦さん
埼玉県立川越総合高等学校

松永梨杏さん
埼玉県立越谷総合技術高等学校
※佳作受賞作品の「憧れの人・作品説明」は、こちらからご覧ください。








兵庫県立兵庫工業高等学校のみなさん
※優秀団体賞・兵庫県立兵庫工業高等学校の全作品はこちらからご覧ください。
選評
線の描き方、色の濃淡、ドレープやフリルなど、技術的にクオリティの高い作品が多く見られました。よく勉強されているように感じます。それぞれの世界観の表し方も巧みで、どんな人物に着せたいかということまで伝わるような作品群だと思います。また、シルエットや装飾などでは、個性豊かな色彩を見せつつも、どこかリアルさを感じる部分があり、そのバランスも良かったように思います。いつか、制作にもトライしてみてほしいです。








宮崎日本大学高等学校のみなさん
※優秀団体賞・宮崎日本大学高等学校の全作品はこちらからご覧ください。
選評
全体的に大胆で華やかさのあるデザイン画が揃っていて、とても目を引きました。細かい柄やディテールの線も丁寧に描かれていて、表現力も高いように思います。そして、レイヤーやドッキングのデザイン、装飾などにもオリジナリティがあり、実際に制作したらどのような感じになるのか見てみたい!と思うデザイン画も多々あり、見ている側の想像力も広がりました。また、全45作品の応募ということで、多くの学生がファッションに興味を持ち、コンテストにチャレンジしている点も評価したいところです。
photographs:Josui Yasuda(B.P.B.)
開催概要はこちら
文化服装学院
WEB:https://www.bunka-fc.ac.jp/
Instagram:@bunka_fc
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