素材と技法にこだわって
日常着を特別な一着に
『装苑』2024年5月号 掲載
「幼少期からファッション誌に載っているオートクチュールや、リメイクの個性的な服に興味津々でした。年代的にもファッション漫画『ご近所物語』が流行り、原宿カルチャーど真ん中。気づけば服作りにのめり込んでいました」
服飾の学校を卒業後は、ニットメーカーに勤務。そこで、風変わりな編み地をたくさん知ったという。
リブのピッチを数段階に分けた編み地に。レイヤードした際にふんわりとした透け感で楽しめるよう工夫した、ブランドのアイコンアイテム「haze(ヘイズ)」。カーディガン¥24,200、スカート¥38,500
「面白い素材を見てアイデアを思いつくのですが、大手の会社ではうまく活用できず。それなら自分で挑戦しようと、ブランドを立ち上げました。『遊び心』をコンセプトに、日常で着るスタイリングを意識してデザインするのですが、形になった時、どこか普通だと感じれば、いったん、ぐちゃぐちゃにします(笑)。
サステイナブルなリサイクルビスコースを使用。トップ¥41,800、パンツ¥63,800
例えば、ニットパンツ(写真上)を作る時も、アイレットの穴を大胆にあけ、ユニークに仕上げています。そういった遊びを作り、少し特別な一着だと感じてもらえるよう心がけています。また着心地も大切にしていて、スリットシリーズは糸にストレッチ性のある編み地を使用して柔らかく、さらにドライタッチで夏も快適にするなど工夫。そうやって長く着てもらうことで、サステイナブルであることも重要視しています。現在、ドネーションアイテムも展開していて、今後はさらに環境に配慮した活動を広げる予定です」
シアー素材のカーディガンはシンプルながら、遊びのある丈感で、1枚でおしゃれに落とし込めるアイテム。¥30,800、中に着たトップ¥28,600、細かいラメで作られたジャカード柄は小さな花模様となっていて、上品な仕上がりに。細い毛糸を使用し、軽く着心地のいいパンツ¥41,800
レトロな雰囲気が漂う、手編みの丸いフォルムのコサージュを配したカーディガン¥41,800
ファーストコレクションから続く、シグネチャーニット「durian(ドリアン)」は手編みの技術を駆使し立体感のある表情に。キャミソール¥27,500
durianシリーズのノースリーブトップ。通常よりさらに細い糸を使用しシースルーの編み地に。バックはリボンのデザインで、前後どちらでも着用できる2way仕様。¥30,800、スカート¥38,500
’24SS information
2024年春夏コレクションのテーマは、1990年代ニューヨークのナイトシーンで世間をにぎわせたクラブキッズ。日本でも’90年代後半から2000年代に流行したような、パワフルで形にとらわれないファッションを楽しむポジティブなムードから着想を得て制作。
ブランドプロフィール
OPEN SESAME CLUB○文化服装学院卒業後、ニットメーカー、コレクションブランド、大手セレクトショップなどで経験を積み、2022SSにてOPEN SESAME CLUBをスタート。ブランド名は、『アラビアンナイト』に出てくる呪文「開けゴマ(Open Sesame)」に由来し、宝物が隠された洞窟が開いたように新しいファッションとの出会いを提案。Instagram @open_sesame_club
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EUCHRONIA/ ユークロニア デザイナー
文化服装学院卒業の宮崎さんと佐藤さんによって立ち上げられたブランド。おのおのアパレル企業のデザイナーとして勤務した後、共にイギリスへ留学。2023年4月にユークロニアをスタートさせた。 Instagram:@euchronia_official