sulvam(サルバム)ブランド10周年を経た今、ファッションの未来を担う次世代へ、ショーを通して伝えたいこと。
Rakuten Fashion Week Tokyo 2025 S/S レポート

2024.10.07

9月2日から9月7日までRakuten Fashion Week Tokyo 2025年春夏コレクションが開催された。今シーズンの*byRに選ばれたのは、昨年ブランド設立10周年を迎えたsulvam(サルバム)。パリではブランド初の旗艦店をオープンするなど、着実に活動の幅を広げているサルバムが東京でファッションショーを行うのは3年ぶり。デザイナー 藤田哲平さんの母校である文化服装学院が舞台となり、ショーには多くの学生も携わった。

次世代にファッションショーを通して伝えたいこと、東京でショーを行う理由とは?
装苑ONLINEではショーのバックステージの様子とともに、直後に行ったデザイナー藤田さんへのインタビューもあわせてお届けします。

photographs : Jun Tsuchiya(Back Stage,B.P.B.), Norifumi Fukuda , Hiromu Watanabe(Show,B.P.B.)

 9月6日(金)13:00 

舞台となったのは文化学園の遠藤記念館。このホールは通常、学生作品によるファッションショーや「装苑賞」の会場として使われているが、この日はサルバムの世界観が息づくショー会場へと姿を変えていた。正方形に構成されたランウェイには黒い床が一面に広がり、力強い照明が輝く。ショー演出を手掛けたのは、VISIONS AND PARADOXの酒井文章さん。

 フィッティングスタート 14:30 

今回のショーでは、2025年春夏メンズコレクションと昨年始動したばかりのウィメンズラインをあわせて、計50ルックを発表。スタイリングを手がけたのは、藤田さんと長い付き合いがあるというスタイリストの服部昌孝さん。数々のアーティストをはじめ、ファッション、広告と活躍する人気スタイリストだ。また、フィッターとしてモデルに着せ付けを行ったのはスタイリストを目指す、文化服装学院 流通科スタイリストコースの学生22名。

 リハーサル開始 15:15 

ヘアメイク、フィッティングが完了したモデルからショー会場に移動。通しで行われるリハーサルではランウェイの動線を細かくチェック。黒い鉄骨に照明が鋭く照らされ、隅々まで整えられた会場にモデルも真剣な眼差しに。サルバムのルックが黒い床と相まって一層美しく映えていた。

ショーに必要不可欠である“音”を担当したのは、藤田さんにとって長年憧れの存在だったというトラックメーカー、DJのBAKUさん。10代の頃からその音楽に心を掴まれ、強い影響を受けてきた存在であるBAKUさんにオファーをしたところ快諾。「すごく光栄なことです」と藤田さん。

 学生へ向けたショー 17:15 

本番のランウェイショーの前には約500名の学生へ向けて本番同様のショーが披露された。

「ファッションショーは学生の時に興味を持っていても見れないということが多いじゃないですか。東京でも海外でも。だったら学生だけに見せたい。それを文化さんに伝えて、協力していただきました。ショーから何かを感じてもらえていたら嬉しいです」と藤田さん。

未来のファッション業界を担う学生が、ショーにスタッフとして関わることやショーを見ることで早く現場を体感し、スキルを身につけてほしいという藤田さんの思いから実現した貴重な機会だ。

また、今回のショーのために藤田さんがパターンを引いてデザインを手がけた3つの鮮やかな赤いルックが存在する。これらの特別なルックには選抜されたアパレル技術科の学生6名が関わっており、彼らは縫製工場で制作現場に関わり、熟練の職人技術に直接触れる貴重な経験を積んだ。このルックは販売はされず、文化服装学院に寄贈される。

 最後のショーに向けた最終チェック 18:00 

本番のショーに向け、ヘアメイク・スタイリングの最終チェックが行われる。

 ショー本番 19:00 

3年ぶりのサルバムのショーを見るため、会場には定員以上の来場者が集まり熱気が漂っていた。DJ BAKUさんの音楽が会場中に響き渡り、ショーがスタート。正方形のランウェイをモデルが力強くも颯爽と歩く。

最初に登場したのは、ブランドを象徴するカットオフした裏地の青が際立つレザーのベストに、同様のディテールを配した股上の深いサルエルパンツのルック。その後も、藤田さんならではのカッティングやパターンメイキングの技術が際立つルックが次々に登場。随所に服作りに対する情熱や探究心といった確固たる信念が滲む。

2025年春夏メンズコレクションプレゼンテーションの様子はこちら

昨年よりスタートしたウィメンズコレクションも初披露された。芯のある女性へ向けてデザインされたウィメンズラインは、メンズよりも軽くしたいという藤田さんの思いから、メンズと同じ生地を用いても色味を薄くしたり、布のカットを流動的にしたりと変化をつけ、着る人の身体にそっと寄り添うような柔らかさも感じられる。ペイズリー柄や格子柄も目新しい。

Congratulations!!!

NEXT:デザイナー 藤田哲平インタビュー

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