
2026年3月16日(月)〜21日(土)の会期で開催された「Rakuten Fashion Week TOKYO 2026 A/W」。JFWO設立20周年を迎え「世界の継ぎ目となれ」というテーマを掲げる今季では、全33ブランドによる新たな20年への一歩を刻むクリエイションが披露されます。
装苑ONLINEでは、東京のファッションシーンを牽引する実力派から、今季デビューする注目のニューカマーまで、個々の美学が放たれる最新のコレクションを、独自の視点でお届け!
text:Minori Okajima
kiminori morishitaが発表したのはランウェイではなく、ブランドの歩みそのものを提示するインスタレーション「80 pieces of history」だった。2003年のデビューから現在に至るまで、約80着のアーカイブピースを一堂に集め、その時間の積層を空間として立ち上げる試みである。

会場に並ぶ服は、手前から奥へと進むにつれて現在へと近づいていく構成。デザイナーの森下公則は「ここに並ぶ服は、時間を遡るように配置している」と来場者向けに発信されたテキストに綴っている。どのように素材に触れ、どのような迷いや執着を重ねてきたのか。その思考と手の痕跡が、一着一着に刻み込まれている。


森下が一貫して考え続けてきたのは、「人間と社会の関係性を布で表現すること」。
特定の場所でしか成立しない服ではなく、都市の風景に溶け込み、地下鉄でも自然に着られるような大衆性を持つこと。その一方で、触れた瞬間に職人の熱量が伝わる密度を宿すこと。相反する要素を内包した服作りは、工場との密接な協働によって支えられてきた。



初期の東京時代(2003〜2005年)は、スーツ地とレザーを切り替えたライダースや、削りや焼きの工程を重ねた木製ボタンに象徴されるように、異素材と加工を掛け合わせる実験性が際立つ。その後、発表の場をパリに移すと、その熱量はより洗練された造形へと変化していく。スプレー加工のダウンで陰影を与え、経年の見え方そのものを反転。2016年、6年の休止を経た再始動後は、複数の着方を内包するパイロットジャケットや、濃淡の異なるパーツを接ぎ合わせたデニムなど、構造そのものを再設計する方向へと展開していった。そして現在は、エスニックな刺繍に塩縮加工を施したシャツをはじめ、ミニマルに仕上げながらも細部にこだわりが凝縮したウェアを手掛ける。

回顧にとどまらず、過去と現在を接続し未来へと開く試みでもあった今回のインスタレーション。服は時間を内包しながら、静かに次の誰かへと手渡されていく。














Coding : Akari Iwanami
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kiminori morishita





