3月3日から9日間の日程で、2025-’26年秋冬パリ・ファッションウィークが開催され、およそ110のブランドが公式スケジュールで新作を発表。今シーズンの必見ブランドやトピックスをご紹介します。

Photo : B.P.B. Paris
ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)は、新クリエイティブディレクターに就任したジュリアン・クロスナー(Julian Klausner)のデビューコレクションを発表した。
ファッション界の第一線で走り続けてきた創業デザイナーのドリス・ヴァン・ノッテンが昨年退任。その後任に抜擢されたクロスナーには、おのずと大きな期待が寄せられていた。
会場となったのは、オペラ・ガルニエ。ネオ・バロック様式の豪華絢爛な建物の奥へ進むと、シャンデリアが連なる長い廊下がある。ランウェイは、そこが出発点になった。コレクションのタイトルは「カーテンの向こう側」。

Photo : B.P.B. Paris
披露されたのは56体におよぶルック。重厚なカーテンのベルベットやタッセル、絨毯のジャカード 、壁のレリーフ(浮き彫り)模様など、室内装飾に見られる華麗な要素を取り入れる一方で、ステッチやアクセサリーに使われたカジュアルな靴紐がアクセントに効いている。
「オペラ・ガルニエで発表するコレクションは、この会場を念頭に置いて制作されました。この壁が語るだろうストーリー、そして空気を満たす別の時代のエネルギー」と、クロスナー。

Photo : B.P.B. Paris
「私はこのシーズン、オペラ座の中を通り過ぎながら、ファブリックやオブジェを手に掴み、それらを靴紐で結びながら、未知の問いに対する答えを探し求める女性たちを想像しました。創作と実践が行われるカーテンの向こう側。その生々しい、触覚的な発見が、私が今日どのようにファッションを見ているかの本質となります」

「このコレクションは、ドリス ヴァン ノッテンの核である変化、個人的習慣、静かでありながら力強い過去と未来の対話といった本来の性質や本能を讃えるものなのです」

ずっしりとしたフルレングスのコートには、靴紐を用いたホイップステッチ(生地の端をかがる手縫いの技法)が施され、ウエストを強調するコルセットベルトにも同様のディテールが取り入れられている。パイエットやフリンジの装飾は舞台衣装のような輝きを放ち、多彩なアラベスク模様、グラフィカルなチェックやドットなど、テキスタイルの豊かさもこのブランドならではの魅力だ。


創業者の美学を尊重しながらも新たな視点を見せるコレクションは、モダンでノーブル。加えて、クロスナーの私的なアプローチが随所に光る。新章の幕開けにふさわしいショーに「ブラボー!」と、拍手を送りたい。
























































Photos ©︎GORUNWAY
Courtesy of DRIES VAN NOTEN
Text:B.P.B. Paris