2025年春夏オートクチュールウィークが1月27日から4日間の日程で開催。
今シーズンの必見のショーや気になるトピックスをご紹介します。

Photo : ©Adrien Dirand
マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)によるディオール(DIOR)は、テイラリングの記憶や『鏡の国のアリス』などからイメージを膨らませ、時空を超えた物語の中を旅するようなファンタジーあふれるコレクションを発表しました。






シルエットは豊富に登場したクリノリンが印象的で、メゾンを象徴する「コロール」ラインや「トラペーズ」ラインなどからもインスピレーションを得ています。ロマンティックな装飾がふんだんに施され、ミニドレスが少女のような一面を覗かせる一方で、モヒカンのヘッドピースがディオールらしいパワフルな女性像を描き出していました。




Photos : ©Elena Dottelonde
会場でゲストを迎えたのは、壮大な刺繍のインスタレーションです。壁を埋め尽くすこれらのテキスタイルパネルは、インド・ムンバイ出身のアーティスト、リシカ・マーチャント(Rithika Merchant)が手がけた絵を忠実に刺繍で再現したもので、今回のショーのために特別に制作されました。過去に根差しながらも未来を切り開く女性、自然とのつながりなどを題材にした神秘的な作品です。

Photo : ©B.P.B. Paris
ディオールはコレクションの発表に際し、メゾンのアトリエとコラボレーターたちの動画を公開しました。オートクチュールの醍醐味といえる芸術的な手仕事をぜひご覧ください。
アリスの庭を思わせる繊細な刺繍で彩られた花々のドレス



マリア・グラツィア・キウリが発見した1920年代のダンスパフォーマンスのイラストから『鏡の国のアリス』のイメージが広がっていきます。小さなシフォンの花々をあしらったクリノリンドレスは、庭を通り抜けたアリスを想起させるもの。デリケートな3Dフラワーとビーズが連なるブレードをクリノリンに留めつける作業は19世紀後半のテクニックです。中には1着に約1400もの花を使った作品も。
ドレスにボリュームを与えたクリノリン




アリスが現代によみがえり、衣装の歴史を旅する姿を想像したというコレクションでは、クリノリンが重要な役割を果たしました。多くは昔ながらの方法で作られたクリノリンですが、日本で竹細工を学んだフランス人アーティスト、ロール・ジュリアン(Laure Julien)が手がけた竹のクリノリンも登場します。そのスカートを彩るのは、藁細工アーティストのナタリー・セリエ・デジャン(NATHALIE SEILLER DEJEAN )の花や昆虫たち。オーガンザや古いレースを使ったものもあり、牧歌的な自然界を生き生きと表現しています。
現代に引き継がれるシルクオーガンザの伝統技術




軽やかさを演出したシルクオーガンザの花びらは、19世紀の技術を継承するイタリアの工房「パリアーニ & ブラッスール(PAGLIANI & BRASSEUR)」で作られました。使用する道具も当時のもので、職人は祖父から譲り受けたのだそうです。花びら型にカットしたオーガンザに手作業で色付けすることで、本物の花のような深みのある表情が生まれていきます。後半にはパリの刺繍工房「ルサージュ(LESAGE)」とフラワー装飾のスペシャリスト「ルマリエ(LEMARIÉ)」の職人技も紹介。手仕事が生み出すミラクルな世界に引き込まれていきます。
Savoir-Faire Videos : ©Mélinda Triana / Photos : ©Sophie Carre, Prarthna Singh(Atelier Chanakya)




































































Photos & Videos : Courtesy of Dior
Text:B.P.B. Paris