映画『サマーフィルムにのって』松本壮史(監督)× 三浦直之(脚本)
「好き」という気持ちの力について

2021.08.20

現在、大ヒット上映中の映画『サマーフィルムにのって』。映画作りによって連帯する高校生たちの青春を描いた本作、その普通ならざる輝きと熱量はどのように生まれていたのだろう? 映画を生み出したお二人、監督の松本壮史さんと、脚本を手がけた三浦直之さんへのインタビューで、この映画に込められた要素や「好きなもの」との向き合い方、創作物がつなぐものを伺います。
photographs : Jun Tsuchiya (B.P.B.) / interview & text : SO-EN

▶︎出演している伊藤万理華さん×河合優実さん×祷キララさんのインタビューはこちら

『サマーフィルムにのって』
勝新太郎を敬愛する時代劇オタクの高校3年生、ハダシ(伊藤万理華)。放課後の楽しみは、親友のビート板(河合優実)、ブルーハワイ(祷キララ)と河川敷にある秘密基地で過ごすこと。そんなハダシは映画部に所属しているが、部活は皆に人気のキラキラ恋愛映画を制作していて、時代劇は作れない。くすぶっていたハダシは名画座を訪れ、突然、自身の脚本『武士の青春』の主役にぴったりの青年・凛太郎に出会う。ハダシは凛太郎に熱い出演依頼を続け、さらに学校内でスタッフをスカウトしていく。そうして集まった「ハダシ組」は、文化祭での『武士の青春』ゲリラ上映を目指し映画制作を進めていくが、ある時、凛太郎が未来からやってきたという秘密が発覚する。凛太郎が未来からやってきた理由とは?ハダシの初監督作品はどんなラストシーンを迎えるのか?
ドラマ、CM、MVなどを幅広く手がけ、話題を集めてきた松本壮史の初長編監督作品。劇団「ロロ」主宰で、ドラマの脚本でも高い評価を得ている三浦直之が共同で脚本を手がけた

松本壮史監督、三浦直之(ロロ)、松本壮史脚本、伊藤万理華、金子大地、河合優実、祷キララ、板橋駿谷ほか出演。東京の「新宿武蔵野館」「渋谷ホワイトシネクイント」他にて全国公開中。ハピネットファントム・スタジオ配給。 ©︎ 2021「サマーフィルムにのって」製作委員会
WEB : https://phantom-film.com/summerfilm

この記事の内容
1 積み重なっていたものの総決算を作りたいと思っていた
最高のライバルと戦うことは、恋愛と紙一重
創作のパワーバランス、「好き」という気持ちがつなぐもの

積み重なっていたものの総決算を作りたいと思っていた

ーー『サマーフィルムにのって』の成り立ちを、教えていただけますか?

三浦直之(以下、三浦) 仲間を集めて何かを成し遂げる王道の青春ストーリーのプロットで、高校生たちの青春ものにしよう、ということは最初に決まったことです。では、何をすることにしようか?と色々アイデアを出していく間に、時代劇がいいんじゃないかって。さらにそこに「今の高校生が時代劇を見る視線」と「未来の人が今を見る視線」が重なると面白いのでは?とタイムリープの要素が加わりました。

松本壮史(以下、松本) 何も決まっていない状態で、三浦さんと僕と漫画編集者の稲泉広平さんとロロの制作の奥山三代都さんでとりあえず集まって打ち合わせをしたんです。その時「時代劇作り」くらいまでは普通のテンションだったのですが、未来人の要素が加わってから皆のテンションがすごく上がって(笑)。これは見たことがないものになりそうだ、とさらにアイデアを出していったら、いろんな要素がどんどん足し算されていきました。収集つくのか分からないけど、とにかく面白いことになりそうな予感はあって。わ〜っとアイデアを出しながら、主要キャラも、物語の大筋も、その日のうちに4時間くらいで決まりましたね。

三浦 うんうん。

ーーすごいですね。その勢いは、何によって生まれていたのでしょうか?

三浦 僕はこれまで松本さんとお仕事をご一緒させてもらっている中で、松本さんのオリジナル長編を見たい!という気持ちが強かったんですね。なので、これは絶対成功させねば!!という気持ちがすごいあったのは覚えています。

松本 今まで三浦さんとはドラマやMVを一緒に作っていて、なんとなく好きなものを共有できていたんです。そういう、積み重なっていたものの総決算を作りたいと思っていました。それが20代の終わりから30歳なりたての頃だったというのも大きかったかもしれないです。大人になってから友達ってそうそうできないですが、三浦さんは20代の終わりに出会った数少ない友達に近い存在で。そういう人と一緒に、若いうちに・・・というと変ですけれど、一回一緒にしっかり作りたいなという思いが大きかったので、全部の熱量を込めた感じですね。

左から 松本壮史監督、三浦直之さん

ーー時代劇オタクのハダシも、好きなものに対して真っ直ぐ熱量を込めて向かう人でしたよね。彼女の造形にはお二人が反映されているのでしょうか?

三浦 僕自身もこれが好きだ!というものがあって、それに救われた経験があるので、自分自身のそういう思いみたいなものは乗っかっていると思います。

松本 自分も覚えがある感じでしたね。特に10代の頃って、好きになったものにずっとのめり込んでいて。大人になってそこまで一つのものにのめり込むことがなかったぶん、その時は特別な時間だったなと。

ーー10代を描く上で青春映画の「型」のようなものは、どのくらい意識されていたのでしょうか?

三浦 僕は青春ものが大好きなので、昔、自分が見てきた青春映画のいい部分をなるべく書きたいなっていうのはありました。ただ、いわゆる「ボーイ・ミーツ・ガール」みたいなラブストーリーとは違うものを書きたいと思っていた気がします。

松本 「青春映画=恋愛映画」にしたくないというのは最初から持っていた部分でしたね。高校生の青春映画で熱いものって、最近ではあまりないなと思っていて。ちゃんと熱量があって、ポップで王道で、いろんな要素の中の一つとして恋も当然あって・・・っていうものを作りたかったんです。物作りにめちゃくちゃのめり込む人を演じていただくにあたり、伊藤万理華さんがぴったりハマったっていうのがありました。

三浦 仲間を集めて喧嘩してバラバラになってまた集まる、というのは青春の王道なので、その部分はやっぱり意識していましたね。

松本 普通の高校生活だと仲良くならなさそうな人たちが、夏だけ集まってばっと一つになるっていうのは、やりたいなと思っていたことでしたよね。

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映画『サマーフィルムにのって』より

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