濱口竜介監督が村上春樹による短編小説を映画化した映画『ドライブ・マイ・カー』が今年度のカンヌ国際映画祭にて4冠を獲得、そして米国アカデミー賞にて日本映画史上初の国際長編映画賞を受賞し話題を呼んだ。これをきっかけに濱口監督に興味を持った人も多いのでは?
そんな濱口監督の初期の代表作『PASSION』(2008)、コアな濱口ファンを生み出した『親密さ』(2012年)、5時間半という長尺にも関わらず大ヒットした『ハッピーアワー』(2015年)の三作品が、初めて上映されたそれぞれの“聖地”であるミニシアターにて4月2日(土)より再び上映される。(『PASSION』はユーロスペースにて、『親密さ』はポレポレ東中野にて、『ハッピーアワー』はシアター・イメージフォーラムにて上映。)
映画『PASSION』©︎東京藝術大学大学院映像研究科
映画『PASSION』©︎東京藝術大学大学院映像研究科
演技未経験のワークショップ参加者と徹底的に本読みする独自の演出法、『ハッピーアワー』や『親密さ』にみられる異例の長さの上映時間など、商業的な側面から見ればかなり果敢な試みを挑みながらも、確実にミニシアターの観客を魅了してきた濱口監督作品。
彼の作品は公開されれば、劇場には少なくない観客が駆けつけ、その映画を見て語る声の熱さがさらに新しい観客を引き寄せる。そうした状況に劇場は応えて、彼の作品を上映し続け、また監督はその期待を超えるような新作を発表してきた。
映画『親密さ』(C)ENBUゼミナール
映画『親密さ』(C)ENBUゼミナール
自主制作からアカデミー賞ノミネートに至るまで、濱口作品を支えた続けたのは間違いなくこうして劇場に足を運んだ観客である。作品と観客たちをつなげた日本独自の“ミニシアター”文化に敬意を示すような今回の特集上映はぜひ足を運んで観に行きたい。
映画『ハッピーアワー』(C)2015 KWCP
映画『ハッピーアワー』(C)2015 KWCP
濱口竜介監督作品特別上映
『PASSION』
2008年/115分
映画作家・濱口竜介が世界に発見されるきっかけとなった初期の代表作。結婚間近の果歩と智也を祝う席上、智也の過去の浮気が発覚し……。男女5人が揺れ動く一夜を描いた群像劇。渋川清彦、河井青葉、占部房子ら、新作『偶然と想像』やほか濱口作品の常連になる俳優たちが結集している。東京藝術大学大学院映像研究科修了制作作品。
期間 : 2022年4月2日(土)〜4月15日(金)
時間 : 19:00
会場 : ユーロスペース
料金 : 一律¥1,500
『親密さ』
2012年/255分
本作は『親密さ』という演劇を作り上げていく過程をフィクションとして演じる前半と、実際の上演を記録した後半から成る二部構成を取っている。令子と良平は新作舞台の上演を間近に控えた演出家である。コンビで演出をする彼らのやり方は、段々と限界に近づいているように見える。稽古を繰り返す間に、2人の日常、想い、そして社会はゆっくりとだが、確実に変化していく。そして舞台劇『親密さ』は始まり、やがて終わる。まるでほんのひと時、電車同士が並走して別れ去るまでの間のような、彼らの生活。
期間 : 2022年4月2日(土)、4月9日(土)
時間 : 24:10よりオールナイト上映
会場 : ポレポレ東中野
料金 : 一律¥2,000
『ハッピーアワー』
2015年/317分
30代も後半を迎えた、あかり、桜子、芙美、純の4人は、なんでも話せる親友同士だと思っていた。純の秘密を知るまでは……。
—私は本当になりたかった私なの?
期間 : 2022年4月2日(土)〜4月8日(金)
時間 : 13:00
会場 : シアター・イメージフォーラム
料金 : 一律¥3,000