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【From パリ支局】改修したカルナヴァレ博物館でパリの魅力を再発見!

2021.07.26

–文化出版局パリ支局より、イベントや展覧会、ショップなど、パリで日々見つけたものを発信。

エッフェル塔、シャンゼリゼ、モンマルトルと、パリには観光スポットが山ほどありますが、この町をより深く知りたい人にお勧めなのが、カルナヴァレ博物館(Musée Carnavalet)です。

パリの歴史を伝えるこの博物館は古い街並みが残るマレ地区にあり、建物は作家のセヴィニエ侯爵夫人が住んでいたことでも知られる16世紀の館。改修工事のために2016年10月から閉館していましたが、約4年半の歳月を経て再開しました。

改修プロジェクトでは展示品の修復に加え、新たな空間と鑑賞ルートを設置。遺跡、絵画、家具、写真、現代アートなど、様々なコレクションを通して、先史時代から今日まで、年代順にパリの発展が解説されています。また、新装されたミュージアムショップでは、デザイナーのマオリツィオ・ガランテ(Maurizio Galante)とタル・ランマン(Tal Lancman)によるパリを題材にしたインスタレーションがあり、こちらも見どころの一つ。

人々を惹きつけてやまないパリが凝縮された館内で、その魅力を再発見してみて!

久しぶりに人の列が戻ったカルナヴァレ博物館。マレ地区でひと際目を引く瀟洒な建物は、パリ市議会議長ジャック・デ・リニュリの邸宅として16世紀半ばに建造されました。博物館の創立は19世紀後半。今ではパリで最も古い博物館となっています。

入館してすぐに現れるのは、看板の展示。情緒ある昔のパリにトリップしたような気分が味わえます。文字が読めない人のために、店で取り扱うものが一目でわかる看板が多く、楽しいデザインが必見。

屋号を表す看板も多数。こちらは民宿『ノルマンディの牛の宿』の看板。旅人に向けて「歩きでも馬でも歓迎」と書かれています。19世紀前半のもの。

左は絹製品の店『黒猫』の看板。18世紀末頃から使われていました。

17世紀前半に描かれたパリの地図。町は城壁に囲まれ、今よりかなり小さかったことがわかります。

左はパリ市庁舎の扉。1652年の暴動で入口が破壊され、この扉が取り付けられました。見る者を石にしてしまうという怪物、メドゥーサのブロンズ彫刻は、魔除けの鬼瓦のようなもの。右は船がモチーフになったパリ市の紋章。現在は「たゆたえども沈まず」の語句と共に掲げられ、パリの生命力のシンボルとなっています。

地下に作られた新しい展示室には、中石器時代から16世紀中頃までのコレクションを展示。

大階段の壁には、奥に広間があるかのようなトロンプルイユの絵画を見ることができます。

フランス革命にまつわる展示も充実。写真はフランス国王ルイ16世一家が幽閉されていたタンプル塔の部屋の再現。

ルイ16世の絹の靴下や子供の遊び道具など、当時の様子を生々しく伝える品々。王妃マリー・アントワネットが使っていたパフュームボトルの底には香水が残っています。

ギロチン刑に処されるルイ16世が家族に別れを告げるシーンの絵画。王を囲み、嘆き悲しむ王妃マリー・アントワネットと子供たち、王の妹エリザベート王女が描かれています。(1794年 Jean-Jacques Hauer)

左はタンプル塔での王妃マリー・アントワネットの肖像画(1815年 Alexandre Kucharski)と王妃の飾り襟。右の絵は1793年10月16日にギロチンで処刑される王妃が、最後に過ごした牢獄「コンシェルジュリー」から出される様子を描いたもの。(1885年 Georges Cain)

19世紀末から第一次世界大戦までのパリが華やかに栄えたベル・エポック(良き時代)の絵画の展示。

宝石商「フーケ(FOUQUET)」の再現。アールヌーボーの画家であるミュシャ(Mucha)が内装デザインを手がけました。ジュエリーから着想され、花や植物の有機的な曲線を描くデコレーションが美しい。

フランスを代表する作家マルセル・プルーストのベッド。1880年頃のもの。病弱だった彼は、ベッドの中で過ごす時間が長く、小説のストーリーを考えるなどの創作も行なっていたのだとか。

ミュージアムショップの天井に展示されたマオリツィオ・ガランテとタル・ランマンの作品。金細工職人によって手作業でカットされた金、銀、銅の8,000枚の板が吊るされ、パリを象徴するモニュメントやセーヌ川が幻想的に表現されています。

新しくなった博物館には、都会のオアシスのようなカフェ・レストランも新設されました。

Musée Carnavalet – Histoire de Paris
入館料は無料、要予約。
Carnavalet美術館オフィシャルサイト

Photographs :濱 千恵子(Chieko HAMA)
Text: B.P.B. Paris