–文化出版局パリ支局より、イベントや展覧会、ショップなど、パリで日々見つけたものを発信。

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第一統領時代のナポレオンの肖像画。颯爽と馬に乗る姿が描かれている。Jacques-Louis David作(1800年)。

一番有名なフランス人といえば、ナポレオンと答える人が多いのではないでしょうか。ナポレオン・ボナパルトは、言わずと知れたフランスの皇帝。英雄と称される彼の名は日本でも知られていますが、一方では独裁者として嫌われてもいる人物なのです。その彼の没後200年を記念した大展覧会がパリのラ・ヴィレット(La Villette)で開催されています。

展示されるのはルーヴル美術館、ヴェルサイユ宮殿、フォンテーヌブロー宮殿、マルメゾン城、軍事博物館、モビリエ・ナショナル、ナポレオン財団が所蔵する貴重な品々。これらが結集するのは初めてのことで、展示品は150点以上にのぼります。

中でも特に興味がそそられるのは、彼が実際に着ていた服や装備品、使っていた家具や食器、皇妃のドレス、家族や愛人の肖像など、当時の生活をうかがわせる展示。ヨーロッパの大半を征服し、最後にはセントヘレナ島に幽閉されるという数奇な人生を送った皇帝ですが、プライベートな部分を見ることができるのもこの展覧会の醍醐味です。

そんな展示の様子をダイジェストでお届けします。

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少年期から栄光の時代を経て失脚するまで、ナポレオンの容姿の変化がわかる彫像。

1769年、地中海に浮かぶコルシカ島で8人兄弟の次男坊として生まれたナポレオン。家は古いイタリア系貴族でしたが裕福ではなく、9歳の頃、フランス本土に送られ、国費で陸軍学校の教育を受けます。勤勉で読書家だった彼は、気難しく、内気な性格で、同級生からは田舎の訛りをからかわれ、友人は少なかったそう。

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陸軍学校時代にナポレオンが所有していた羅針盤と名前が書かれた本。

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出世街道を駆け上がっていた1799年、統領政府を樹立し自ら第一統領となった当時のナオポレオンの制服。カバンには大きく「Premier consul(第一統領)」と記されている。

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レジオンドヌール勲章の展示。現在までフランスで最高位勲章として位置付けられるレジオンドヌールは、1802年にナポレオンによって制定された。

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ナポレオンは宮廷における臣下の制服にもこだわりを持っていた。礼装に使われていたのはシルクビロードで、金糸と銀糸の刺繍が施されている。

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左の写真はフランス元師のセレモニーの制服。右は大粒のクリスタルが埋められたナポレオンの剣。

1804年、ナポレオン・ボナパルトは皇帝に即位。戴冠式はパリのノートルダム大聖堂で執り行われました。

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皇帝に即位したナポレオンと皇妃ジョセフィーヌの肖像。中央には玉座が据えられている。

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第一帝政の皇妃ジョセフィーヌが着ていた本家本元のエンパイアドレス。ファッション用語のエンパイア(帝国)ラインの起源はここから。ジョセフィーヌは当時のファッションリーダーであり、彼女の装いをヨーロッパ中の女性たちが真似ていた。

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二番目の皇妃となったマリー=ルイーズとの挙式のパレードで使われた馬車。

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挙式の日、チュイルリー宮殿で使われた豪華な食器一式。この日のために特別に作られたセーブル焼きのデザート皿は72枚におよび、皿の絵のテーマはナポレオンによって与えられた。

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皇妃マリー=ルイーズと皇太子の肖像画。François Gérard作(1813年)。皇妃がナポレオンを喜ばせるために描かせたもので、皇太子はすでにレジョンドヌール勲章のリボンとバッチを身に付けている。

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皇太子の衣服やおもちゃ。揺りかごはチュイルリー宮殿に置かれていたもの。

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フォンテーヌブロー宮殿で使われていたナポレオンのベッドと整理ダンス。

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愛人だったポーランド人のマリア・ヴァレフスカの肖像画。François Gérard作(1810年頃)。ナポレオンとの間に一男をもうけている。

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ナポレオンの衣服の中でも象徴的なルダンゴト(コート)と帽子。遠征時に着用していたもので、部下の兵士たちよりも飾り気がなく地味だが、厳格な雰囲気が漂う。

フランス軍を率いてヨーロッパの大半を征服したナポレオンは、ロシア遠征に失敗し1814年に退位。その後、一度は帝位を取り戻しますが、およそ100日間で再び失脚します。

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上の写真はナポレオンによって書かれた2度目の退位の証書。愛用の羽根ペンには皇帝の刻印が押されている。

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南大西洋に浮かぶ孤島で、大きなクッションにもたれながら最後の時を過ごしたナポレオンの像。Vincenzo Vela作(1866年)

1821年5月、流刑先のセントヘレナ島で波乱に満ちた生涯を閉じたナポレオン。彼の死因は謎に包まれています。

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ナポレオンの死後に顔の型をとったデスマスク。彼の家族や親近者のために製作された。Francesco Antommarchi作(1821年)

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葬儀で使われた馬車。華々しい挙式の馬車との落差が物悲しい。

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「Napoléon」展
12月19日(日)まで。
Grande Halle de La Villette
211 Avenue Jean Jaurès 75019 Paris

公式サイト : https://expo-napoleon.fr

Photographs : 濱 千恵子 Chieko HAMA
Text : B.P.B. Paris