型にはまることのないユニークな違和感と
美しいシルエットを意識して
『装苑』2023年5月号 掲載
東京造形大学でテキスタイルを専攻し、染めやプリントを学んだ鈴木愛加さん。4年生の時に自らのファッションブランドを持ちたいと決心し、大学院に進学。そこから本格的にコレクションの制作を始めていったのだという。
子馬と人間の目をコラージュした作品を手に持ってスマホで撮影しインクジェットプリントした、存在感のあるロングスカート¥29,700
「私は大学に入るまではほとんど服を作ったことがなく、デザイン画も描けなかったのですが、自分で作ったテキスタイルを服にしたいという気持ちがありました。そこで、ファッション専攻の先生のところに『これが作りたいんです』って描いたスケッチを持っていき、トワルの作り方や立体裁断を教えてもらい、基礎を覚えていきました」そして卒業を契機に、在学中の課題で制作テーマにしていた「5歳児が把握する世界」を名前にしたブランドをスタートさせた。
「はみ出した違和感をいつも大事にしていて、デザインが浮かぶと、まずふにゃふにゃの線でスケッチします。それをもとに現実的に服として形にできるようアップデートしながら実際に制作を始めるのですが、理想形はあえて決めないようにしていて。でき上がった時に少しだけ自分の想像していたものを超えられたらいいなと思っています」
コロナ禍で外に出られなかった頃、自分の家というパーソナルな場所から、外の世界を眺めているイメージで手描きしたというイラストが印象的。トップ¥17,600
星やアルファベットの手刺繍と、手染めが施されたギンガムチェックのパンツ。今後は色や刺繍違いのデザインも展開予定。各¥47,300
ポケットが身頃を1周してつながっていたり、ファスナーが逆さまについていたりとユニークなデザインが目を引くジャケット¥42,900、ギンガムチェックの装飾があしらわれたミニスカート¥30,800
ただユニークなデザインというだけではない、着た時のシルエットの美しさも意識していると鈴木さんは話す。「スリムな部分と膨らみのある部分のバランスにこだわったり、着た時にときめきを感じられる服を目指しています」
オリジナルの柄をパッチワーク風にデザインしプリントした、遊び心が光るパンツ¥44,000
思いのまま、いいと思った抽象的な形や、“LOVELY & SAD”という文字を生地に直接描いたミニドレス¥29,700
ブランドプロフィール
Aika Suzuki 鈴木愛加●1996年生まれ、神奈川県出身。東京造形大学にてテキスタイルを学び、2021年、大学院卒業後に自身のブランド“ファイブイヤーオールド”をスタート。オリジナルプリントや手染め、刺繍などを施し、ユニークなバランスを探りながら洋服を制作している。Instagram @fiveyearold_
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日坂 奈央/ hisaka nao デザイナー
Nao Hisaka 日坂奈央 ● 大学でファッションを学び、卒業後に大好さな干し芋の聖地、茨城県で3年間、作品制作などをしながら過ごす。その期間中の2021年に初めてポップアップストアを開催し、hisakanaoとして活動を始める。現在は関西を拠点に制作しながら、たまに東京を訪れている。Instagram:@hisakanao